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足るを知る

【足るを知る】
老子三十三章に「知足」がある。
『人を知るものは智   自らを知るものは明なり
人に勝つものは力あり 自らに勝つものは強し
足るを知るものは富み 強めて行うものは志あり』


仏教思想では、
『裸で生まれてきたのだから裸で帰る。人間寝るところ一畳あれば足りる。
人間を入れる棺桶は巾二尺、長さ六尺もあれば足りる』
 

聖書五章十五節には、
『人は母の胎より出で来たりし如く また裸体にて帰り行くべし。  
その労苦によりて得たる物を 一つも手にとりて携え行くことを得ざるなり』


【吉村外喜雄のなんだかんだ 第33号】
~幸せな人生を歩むために~
「足るを知る」

稲盛和夫氏や、政治評論家細川隆一郎氏などの有識者は、今の日本を根本から立て直すには、”足るを知る” という精神を学ばなければならないと言っている。
先々週お話を聴いたばかりの、100円ショップ・ダイソーの矢野社長も同じことを言っておられた。

「足るを知る」は、仏教の教え「吾唯知足(われただ、ちそく)」のことである。
昨年京都へ紅葉を見に行ったとき、竜安寺の伝道掲示板に、

貧乏とは 何も持っていない人のことではなく 多くを持ちながら
  まだまだ欲しい欲しいと  満足できない人のことである

という意味の言葉が掲げられていたのを、記憶している。
禅修行の目的の一つ、”足るを知る”人間になるには、欲望が抑制され、煩悩妄想による迷いもおのずと消え、 いついかなる時も、心清き状態にいられるようになることだという。

今の時代の日本は「物で栄えて心で滅ぶ」と言われているように、私達の生活は買うものがないくらい、 物質的には十分潤っている。ブランド志向のより高価なものを身につけ、より美味いものを食べ歩き、使い捨て、 食べ残しが当たり前となり、「もったいない」という言葉が死語になっている。

以下、(株)新経営サービース「バイマンスリーワーズ」からの転載です。

バブル崩壊後、アメリカの勝つか負けるかの企業戦略論が、 日本経済社会を覆っている。戦略的には大切でしょうが、相手を倒すことを狙った戦略は、 いずれ己を滅ぼすことになります。
もともと狩猟民族であるアメリカの戦略論に、農耕民族の日本の経営者が、 感化洗脳されていることに問題があると思うのです。

アメリカを代表する企業日本マクドナルド。一昨年の平日半額セールは大ヒットした。  ITを駆使して世界中から最安値の食材を仕入れて、コストダウンを行った成果です。しかしその後、 急速に業績を落としたのは何故か? 
平日半額セールは一見、うまくいったようですが、その実「自分さえよければ」という発想から脱していません。
マクドナルドの低価格戦略は、牛丼、弁当、ラーメンなど他の外食産業にも浸透し、デフレを加速させました。 無理な低価格政策は、同業者間の熾烈な競争を生み、取引先から反発を買い、 不信感に陥った消費者も少なくないのです。


稲盛和夫氏も言っている。

我々はいつまでも豊かさを追い続けることはできない。 永久に経済的な成長を続けることは、地球の破滅につながるだけである。豊かさを手に入れた今こそ「足るを知り」 、現在の豊かさに感謝し、これ以上の物質的繁栄を追い求めることは、もうやめるべきではないか…

と…。そんな時期に来ていると思う。

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