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ガマの油売りの口上

あけましておめでとうございます 
私が生まれ育った香林坊。東急ホテルと109が建つ前は、松竹座、スメル館など
4館の映画館が並び、お正月は沢山の人でにぎわった。ストリップ劇場、立花座
横の急な坂を下りた右奥にも、東映・日活など、4館の映画館が並んでいた。

映画館が建つ前は「香林坊大神宮」でした。香林坊交差点に面して大きな鳥居が
あって、境内には大きな銀杏の木があった。毎年春と秋にお祭りがあって、祭礼
の前日、商店街の子ども達に混じって、店の軒先にしめ縄を張って歩いた。

春と秋のお祭り、そして初詣には、大神宮・尾山神社・石浦神社の境内に、沢山の
露店が並んだ。何の娯楽も無かった時代。露店を一軒一軒見て歩くのが何よりの
楽しみだった。
境内には見世物小屋が立った。"ろくろっ首"や"人魚"、"蛇女"などを出し物にし
た呼び込みは、祭りを盛り上げた。
また、バナナの叩き売りや、ガマの油売りなどの大道芸人の周りは、人だかりで
一杯。人垣をかき分けて前にしゃがみ込み、飽きもせずに見ていたものです。


【吉村外喜雄のなんだかんだ  - 107】
~ことば遊び~
「ご存知 ガマの油売りの口上」

正月のBS2は、映画「男はつらいよ・寅次郎」特集を放映していた。ふーてん
の寅さんといえば大道商人。その口上では「バナナの叩き売り」「ガマの油売り」
が有名である。そのガマの油の口上、知名度が高い割には知られていない。
全部だと長過ぎるので、よく知られているさわりの部分を紹介します。

♪ さァ~さお立会い、御用とお急ぎでない方は、ゆっくり見ておいで!
-- 途中略--
…… だがしかしお立ち合い! ほうり銭や投げ銭はおよしなさい。
手前大道に未熟な渡世をいたすといえど、ほうり銭投げ銭は貰わぬ。
では何を稼業にいたすというに、手前持ちいだしたるは、これにある、
万金膏四六のガマの油だ。
そういうガマは、俺の家の縁の下や、流しの下にもいるというが、
それは俗にいう、おたま蛙、ひき蛙といって、薬効の効能の足しにはならん!

手前、持ちいだしたるは四六のガマ。四六、五六はどこでわかる。
前足の指が四本に、あと足の指が六本、これを名づけて四六のガマ。
このガマが棲めるところは、これよりはるゥ~か北にあたる、
筑波山のふもとにて、車前(おんばこ)という露草を食らう。
このガマの獲れるのは、五月に八月に十月。
これを名づけて五十八(ごはっそう)は四六のガマだ!

お立会い! 山中深く分けいって捕まえましたる、このガマ。
油を獲るには、四方に鏡を立て、下に鏡を敷き、その中にガマを追い込む。
ガマは己の姿が鏡に写るのを見て、ウウッ!おのれと驚き、
たらァりたらりと油汗を流す。
これを下の金網にすき取り、柳の小枝をもって三・七、二十一日の間、
とろォ~り、とろりと煮詰めたるが、この万金膏ガマの油。

赤いは、辰砂椰子油(しんしゃやしゆ)の、てれめんてえかにまんてえか、
金創には切り傷、効能は出痔・いぼ痔・はしり痔、ひびにあかぎれ、
しもやけの妙薬。そのほか腫れ物一切に効く…。
ま~だある。大の男が七転八倒する、虫歯の痛みもピタリと止まる。
いつもは一と貝で百文だが、今日は広めのため小貝を添え、二貝で百文だ!

いや、いや、ちょっと待て! ガマの油の効能はそればかりかというと、
まぁ~だある。刃物の切れ味を止めて見せようか…。
手前持ちいだしたるは、鈍刀たりといえども、先が斬れて元が斬れぬ、
なかばが斬れぬという、そんな代物ではない。

ご覧の通り、抜けば玉散る氷の刃(やいば)、目の前にて白紙を一枚切って
お目にかける。さッ!一枚の紙が二枚に切れる。二枚が四枚、四枚が八枚、
八枚が十六枚、十六枚が三十と二枚! 春は四月落花の形、比良の暮雪は、
ふうッと散らせば、雪降りの形だ、お立合い!

かほどに切れる業物(わざもの)でも、ひとたびガマの油を塗るときは、
たちまちなまくら、白紙一枚容易に斬れぬ。さ! この通り叩いても斬れぬ。
引いても斬れない。抜き取るときはどうかというと、鉄の一寸板もまっ二つ。
さわったばかりで、あッ痛! このくらいに斬れる。

だがお立合い、こんな傷はなんの造作もない。
ガマの油を一つけ、付けるときは、痛みが去って、血がぴたりと止まる。
いつもなら…一貝が百文だが、本日は出ばってのご披露、
小貝を添えて、二貝でたったの百文、さァ買った!買った! 
なんとお立合い……     --以下略--

※今は亡きふ~てんの寅さん。あの人懐こい親しみのある顔でタンカを切り、
  口上を述べている姿が浮かんでくる…。

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