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孔子の教え(13)自分に厳しく、人に寛大であれ

■成人には、「大人になる」と「人と成る」の2つの意味がある

1月、恒例の20歳を祝う成人式が、全国の都道府県で行われた。
今年も一部の式場が荒れて、夜のニュースになった…又かと、うんざりさせられる。

以下、伊与田 覺「人間学と論語」から…

 

「成人」には2つの意味がある。
1つは20歳になって、成人の仲間入りをする意味。
もう1つは、「人と成る」の意味…。

「大人」という意味の成人は、特別努力しなくても20歳になれば、誰でも「成人」と言われるようになる。
「人と成る」の方は、"立派な人間になる、人間らしい人間になる"という意味ですから、これには"努力"がいります。

 

明治時代の小学校は4年制でした。それを終えると、大部分は社会に巣立っていった。
松下幸之助は、4年を終えて大坂に丁稚奉公に出ている。
小学4年の年で、既に社会人として「人と成る」の心構えが出来ていたのです。

今の時代、成人はしても「人と成る」には至らず、幼児性を引きずったまま、大人の仲間入りをするところに、問題があるようです。



【心と体の健康情報 - 328】
~古典から学ぶ~
「孔子の教え(13)自分に厳しく、人に寛大であれ 」

「子曰く 身自ら厚くして 薄く人を責むれば すなわち怨みに遠ざかる」

(衛霊公第十五)

「孔子が言われました。自分に厳しく、人に寛大であれば、人から怨まれることはなくなる」

何かあると、自分を反省せずに、人を責めてしまうのが人情というもの…。
戦後、民主主義がやかましく言われるようになってから、この風潮が目立つようになり、世を挙げて権利は主張するが、 己の責任を反省することが少ない世の中になった。
そのためか、思いやりのないギスギスした世相になってきた。

冒頭の孔子の言葉から、人に"正道"に立つよう強く求めると、多くの場合、人から怨まれるのがおちです。
そこで、人に対しては"仁の心"をもって寛大に接し、 自分に対しては""をもって厳しく責める。そんな心が求められる…と孔子は言う。

"孟子"もまた、人から無礼や横暴が加えられた時、「わが身にそうされる理由がなかったかどうか、幾度となく反省(三省) するように」と、説いている。

以下、紀州家から出て八代将軍となった徳川吉宗が、まだ少年で、紀州にいた頃の話です。
名奉行として後世に語り伝えられる大岡越前守は、その頃、伊勢山田の奉行を勤めていた。
あるとき忠相は、夜な夜な禁猟の池に入って、網を打って鯉をとっている少年がいることを耳にした。早速捕手を差し向けると、 少年は徳川家の葵の紋の提灯をつきつけて、「無礼者、この葵の紋が目に入らぬか!」と一喝した。

見ると、紀州家の若者に相違ない。捕手の頭が恐縮して、そのことを忠相に報告した。
翌晩、忠相自ら出かけて、有無を言わさず少年を召し捕り、牢にぶち込んでしまった。
翌朝、忠相は少年を白洲に呼び出し、
「殺生禁断の場所へ網を入れたばかりか、ご紋をたばかった大罪は許し難いが、
 まだ少年の身である故、今回限りさし許す。しかし、今後は絶対許さんぞ」と、
厳しく叱りつけて放免した。

少年は深くその非を悔い、生涯己を戒めることを忘れなかったという。
この少年こそ、後の八代将軍吉宗その人だったのです。
将軍になった後も、子どもの頃の忠相のことを忘れず、江戸町奉行に抜擢している。
忠相は、幾多の名裁判を行い、それは「大岡さばき」と称せられ、名奉行として後々に語り継がれるようになったのは、 誰もが知るところです。

吉宗にまつわる今一つの話は、これも同じくまだ紀州にいた頃のことです。
家来がある晩宿直をして、こっそり酒を飲んだ。
この家来、もともと酒癖が悪かったので、酔って刀を抜き、荒れ廻って、ふすまを斬りつけてしまった。

同僚がとり押さえ、吉宗に裁断を仰いだ。
吉宗は笑って、「酒の上のことだ。一度だけは許してやれ。しかし、破ったふすまはそのままにしておけ」と言い渡した。
ふすまを斬り破った家来は、吉宗の寛大な処置に感謝したが、毎日破れたふすまを見ることは、身の置きどころもない程辛いことでした。 とうとう、生涯にわたって禁酒することを誓い、ようやくふすまの修繕を許してもらったという。

吉宗はこのように己に厳しく、人に寛大であったからこそ、名将軍として後々まで、慕われるようになったのです。

「論語の友」より

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