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孔子の教え(16) 友を選ぶ

■孔子の継承者"曽子"

孔子の門下生は三千人。弟子の中で※六芸に通ずる有能の士は七十余人。
最も心を通じた高弟は"顔回"…孔子70歳の時に、31歳の若さで早世した。
「天、予を喪ぼせり」と、孔子を悲嘆の極みに至らしめた。

然し、天は見捨てなかった。
孔子が亡くなるなる前年の72歳の時、26歳の青年、"曽子"という、 新たな継承者に恵まれたのです。
その曽子が、生涯変わらず続けたことに、「三省」がある。
(No.329「孔子の教え (14)吾日に吾が身を三省す」を参照)

孔子の死後、曽子は弟子と共に、師の教えの真髄を伝える「大学」という書物を書き残しました。 ちなみに、二宮金次郎の像が、薪を背負って手にしている書物は「大学」です。

伊与田 覺 「論語の一句・冒頭の言葉」より

※<六 芸>
 ・「礼」…礼節         ・「楽」…音楽      ・「射」…弓術
 ・「御」…馬車を操る技術  ・「書」…書道・文学  ・「数」…数学
日本の戦国大名も、基本的教養として、幼少の頃から六芸を身に付けた。



【心と体の健康情報 - 338】
~古典から学ぶ~
 「孔子の教え(16) 友をえらべ」

子曰く 益者三友 直を友とし 諒 (りょう)を友とし 多聞を友とするは 益なり
(季氏第十六)
「孔子が言われました。自分の益になる友だちは三種類ある。
 "正直な人"を友達とし、"誠実な人"を友達とし、"物識りの人"を友達すると、益になる」

また、続けてこうも言っている。
損者三友 便癖(べんへき) を友とし 善柔(ぜんじゅう) を友とし
 便佞
(べんねい)を友とするは損なり
「損になる友達も三種類ある。"要領のよい人"を友達とし、"愛想のよい人"を友達とし、
 "口先のうまい人"を友達にすると、損になる」

加えて、よく知られている言葉に、
子曰く 巧言令色 鮮(すく) なし仁」 (学而第一)
「ことさらに言葉を飾り、顔色をよくする者は、仁の心が少ないものだよ」

「へつらいの多い人に、立派な人はいない」と、孔子は言う。
このように孔子は、友人を選ぶことの大切さを説いているのです。

その昔、シラキウスに住む勇者ピチアスは、暴君ディオニソスを暗殺しようとして果たさず、捕らえられて獄に投ぜられた。
彼は死刑に処せられることになったが、死ぬ前に、故郷の父母に、この世の別れを告げたいと思った。
そこで、王様に「必ず帰ってきて、死刑を受けるので、数日の猶予をいただきたい」と、請い願いました。
王は「お前は、必ず約束を守るというが、どうしてそれが私にわかろう…。
お前は、私を欺いて逃げるに違いない…」と、許そうとしません。

この時、1人の若者が王の前に出て、
「王様、どうぞ私をピチアスの代わりに獄に入れて下さい。彼は必ず帰ってきます。
 彼は今まで、ただの一度も約束を破ったことのない男です。
 もし、彼が約束の日までに帰ってきませんでしたら、代わりに私を処刑して下さい」
と、真剣に王様に願い出たのです。
王様は、親友のダモンの申し出に驚き、その友情に感じ入って、遂にビチアスの願いを許すことにしました。

あっというまに日は過ぎて、遂に約束の日になりました。
ピチアスは未だ帰って来ない。
王は、約束の期限が過ぎたら、直ちにダモンを処刑するよう、獄吏に命じた。
ダモンは、どこまでもピチアスの信義を疑わず、
「もし約束の時間に戻ってこなくても、それは決して彼の罪ではない。
 何か不慮の災難な見舞われたに違いない」
と、言いました。
遂に約束の時間が過ぎ、ダモンは刑場に引き出された。
しかし、ダモンが友を信じる気持ちは少しも変わらず、
「親友のために死ねるなら本望…」と、取り乱すこともなく、平然としていた。

そこへ、ピチアスが息を切らせて、疾風のように駆け戻った。
予定の時刻に間に合わず、気が気ではなかった。
ダモンがまだ無事でいるのを見て、嬉しさのあまり飛びついて、その手を取って男泣きに泣いた。そして彼は、自ら手を後ろに廻して、 獄吏に身をゆだねたのです。
彼は帰途、 暴風雨に合ったり、 船が難破しそうになったりして、  約束の時刻に間に合わなかったのです。
王様はこれを聞いて胸を熱くした。ダモンを許すと同時に、ピチアスの罪まで許して、
「王の全財産を投げ出してもよいから、私にもあのような親友が欲しいものだ」
と、言ったという。

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