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話し上手になるには(2)

■「妖怪・さとり」と「千葉周作」

古来から、日本に語り継がれてきた"妖怪"の一つに「さとり」という鳥がいる。
この「さとり」という妖怪、人の心を見透かす力を持っている。

ある時、「さとり」に出会った木こりが、生け捕りにしようとした。
すると「さとり」は、「我を生け捕ろうと思っただろう…」と。
次いで木こりは、斧で打ち殺そうとしたが、やはり見透かされてしまった。

木こりは、これではどうにもならないとあきらめ、再び木を切り始めた。
突然、斧の頭が柄から抜けて、飛んでいった。直撃を受けて「さとり」は死んだ。

<その1>江戸時代の剣客"千葉周作"は、この寓話を引用して言った。
「流石のさとりも、無念の斧には打たれし」
斧には心がなく、流石の妖怪、見透かす術が効かず、打たれてしまった。
続けて千葉周作…
「剣術も、この"無想"の場に到れば、百戦百勝疑ひなし、千辛万苦の労を積み、
 "無想"の場に進むべし」と…。

千葉榮一郎扁「千葉周作遺稿」

<その2>米沢興譲教会の田中信生宣教師、「心の力はこう使う」と題した講演で、この寓話を引用。巧みな語り口で、 聴衆を引きつけていく…。
(講演テープご希望の方は、米沢興譲協会へ)



【心と体の健康情報 - 575】
~幸せな人生を歩むために~
「話し上手になるには…(2)」

■話し上手になるためのチェックポイント

  • 最初に話す内容を、「一つ何・二つ何」と前置きしてから、話し始めるといい
  • 普段のままの話し言葉で話す
  • 「例え話」や「実例」を入れて、話しを分りやすくする(状況は詳細に話す)
  • 大切なところは「繰り返す」
  • 短いセンテンスで話す
  • 聴衆のAさんBさんと、話のつど相手を変え、視線を送ります
    1対1で会話するように語りかけます
  • 時々「アイコンタクト」を入れ、聴き手とうなずき合う
  • 「大きな声」で語りかけるかと思えば、「声を小さく」したりして、話しに抑揚をつけ、聴衆を引きつける。
  • 両手を前に組んで話さない。両手は、大きく小さく動かして、話しを盛り上げる道具に使う(緊張すると、 手が動かせなくなります)
  • 「ユーモア」の技術を取り入れる
    (言葉遊び・駄じゃれ、面白い話はメモしておいて、笑いを誘う材料にする)
  • 終始「笑顔」を絶やさず、ありのままの自分を出す

人と話をするとき、話し上手になるより、聞き上手になることの方が大事です。
それが出来なくて、話し手の言葉を取って邪魔をしたり、人の話を自分の方に持っていって、得意になって話す(私のことです)… まず人の話を聞くのが、思いやりというもの…しゃべり過ぎず、言葉足らずくらいが、丁度いいのです。

以下は、話し上手の事例です。
日頃、人前で話すことを生業とする、米沢興譲教会・田中信生宣教師の講演導入部分です。最初に笑いを誘ってほぐし、 普段と変わらぬ語り口で、センテンスは短く、分りやすい語り口で、聴衆の心を引きつけていきます…。

♪北方は美人が多いですね。(会場から拍手)
あのォ~、美人が多いと、緊張して話にくいんですけどォ~、
でも、今日は緊張しませんね…いゃいゃ~(会場笑い)
(小さな声で…)
褒めてるのか、けなしているのか、分らないという…
(元気はつらつと…)
皆さん、今日はね…主催者から「心の力はこう使う」
「心の力」という…それをどのようにご活用いただくか…
そのように、お話をするようにと、演題をいただいたわけです。

皆さんね…、今は21世紀に入りましたけれどもォ、
この20世紀までの、世界の力…
ひょっとすると、今もそうかもしれませんけれど…
何がね、一番"力"になるかというと…皆さん、何だと思いますか?
それはね! やっぱり"お金"ということかなァ~。
お金が沢山あったら、幸せになれる…ですから"力"は"お金"

母  「お金のために、そう…一生懸命勉強しろよ~」
息子『何でかあちゃん、勉強すんのよォ~』
母  「そしたらお前、県立高校さ…入れるぞ」
息子『何で県立高校さ入ったらいいの…かあちゃん』
母  「そうしたら父ちゃんと違って、お前、大学さ入れるぞ~」
息子『何で、大学さ行くの…母ちゃんよ~』
母  「そうしたらおめェ、一流企業さ勤められるぞ」
息子『何で、一流企業に勤めるのよォ~』
母  「そうしたらおめェ、給料いっぱい貰えるでねェかよォ…」
…後は危ない(会場笑い)

お母さんが、息子にこう言ったというんですけどね…。
でも、何となく分りますねェ。
お金を得るために、一生懸命勉強する…。
ですから、一生懸命勉強して、よりいい大学に入り、
沢山給料を貰えるところに勤める…。
それが、人間を幸せにするという…
そういう"力"とは、何か…"物やお金"です。
そういう価値観で、ずゥ~っと、日本が来ました。

日本人は、お金を得るために、最大限の努力をする。
それが人間が求める、最終的な"力"だと…。
もしそうだとすると…皆さん、どういうことが起きるでしょうか?

(以下略)

田中信生先生の講演は、ジョークを織り交ぜ、聴衆を笑いの渦に巻き込んでいく。話が面白いから、もっといろいろ聴きたいと、 録音テープを買っていく…。
「型破り痛快人生」の中村文昭氏の講演もそう…地場産センターの定員300名の会場に、400名も詰めかけ、 入り口のドアの外にまで人が溢れた。
「ツキを呼ぶ魔法の言葉」の五日市剛氏の講演もそう…何度聴いても飽きません。

一方、こうしたタイプとは反対に、静かに淡々と話すのに、聴衆をぐいぐい引き込んでいく…そんなすごい先生がいるのです。
「一隅を照らす人生」の、作家・神渡良平先生や、「歌づくり人生」と題して、自らの生い立ちを語る、作曲家・遠藤実先生などがそうです。

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