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錯覚の愛情

■「経営は凧揚げと一緒やで」

松下幸之助翁は、「経営は凧揚げと一緒やで」と、経営を凧揚げに例えて話をした。

・「風」は    … 経済(景気の風・不景気の風)
・「凧」は    … 会社
・「凧の紙」は … 社員
・「凧の骨」は … 幹部社員
・「糸」は    … 経営理念
・「糸を引っ張っている人」は … 社長
・「凧に付けた足」は      … 研修
(一本より二本の方が、凧は安定する)

幸之助は付け加えて…
「風なんかなくても、凧は揚がるで…
高く揚げようと念じて、糸を持って走ったらええ…」

松下幸之助・伝習録から



【心と体の健康情報 - 589】
~子育て心理学~ 「錯覚の愛情」

今どきの若者…命の尊厳を知らず、自己中心的で社会性に欠け、礼儀作法も上下関係も無頓着…そんな若者が目立つ…育てたのは、 私たち親の世代です。だから、子どもの教育をあれこれ言う前に、親である私たちを再教育する必要があるようです。
「今週の倫理・551号/錯覚の愛情」は、そのことを考えさせてくれます。
私たちの多くは「愛情がすべてを救う」と信じてきましたし、それが家族の絆であるとも思ってきました。ところがここ数年、 愛情豊かに育てられた子どもたちが起こす問題は、これら常識に警鐘を鳴らし始めているのです。

例を挙げれば、「子どもが欲しがる物を買い与える」行為を、愛情だと思ってきた。その行為…果たして正しかったのでしょうか? 錯覚ではなかったのか?…私たちは、強く反省すべきではないでしょうか。
T社長は、1人息子S夫に、愛情をいっぱい注いで育てた。暇をみては遊んでやり、欲しがるものは何でも買い与えてきた。
S夫は明るく伸び伸びと成長し、成績はいつも上位でした。ところが高校二年生の頃から、学校の帰りが遅くなりはじめ、 遅刻や欠席が目立つようになった。
当然のごとく成績は落ち、学校から呼び出しを受けるようになった。

そこでT社長は、S夫と話し合ったが、結局「バイクを買ってくれたら早く帰る」と約束しただけで終った。が、 S夫の生活が改まったのは、せいぜい半月ぐらい…元の木阿弥どころか、バイクを通して、さらに悪化していったのです。
T社長は、体罰も辞さずの心境で、帰りを待った。ところがS夫の顔を見ると、〈家出されたらという〉不安が先にたち、 厳しい言葉は何も出てきませんでした。

倫理法人会のセミナーに参加した折り、講師に自分の不甲斐なさを相談した。
講師は、「息子への愛情の錯覚は、父親である貴方が、若い頃の父親への不満の裏返しです。貴方は 十五、六歳頃に、 お父さんを激しく恨んだことがあるはず…そのために、その年頃になった息子に、父親としての自分を示すことが出来ないのです」と、 指摘されました。

確かにT社長は、高校卒業後の進路について父と激しく衝突し、父の「今日限りで勘当だ」との声を背に、家出同然に上京した。 苦学を重ねて大学を卒業し、日夜懸命に働いて、お金を貯め、現在の会社を創り上げたのです。

やがて経営も順調となり、十数年ぶりに勘当が解かれ、父親に再会できたものの…胸の奥のしこりは、残ったままでした。

T社長は帰郷し、年老いた父の前に座り、恨んでいたことを詫びた。
父親は、「勘当せずには、息子の上京を受け入れることができなかったし、また、背水の陣で頑張ってほしいという願いもあった」と、 当時の心の内を語ってくれた。
母親からも、「父さんはね、毎日仏壇の前で、あんたの無事を祈っていたのよ」と聞き、やっと親の愛を自覚することができたのです。

早速T社長は、S夫に親としての毅然とした態度を示しました。以来S夫中心だった家庭が、夫婦中心へと変わっていった。 それからのS夫は、生活姿勢もすっかり改まり、無事に高校・大学を経て、父親の会社で元気に働くようになったのです。
私たちの子どもの頃、家庭が貧しかった故に、自らが親に求めて得られなかったことを、自分の子どもには、同じ思いをさせまいとし、 そうすることが愛情であると、錯覚していたようです。

"感謝のない優しさ"は、子どもへの「甘やかし」となり、"厳しさ"は「押しつけ」と、子ども達には映って見えるのです。
子どもに対する愛情は、親自ら「両親への恩」を、子どもに示すことによって、初めて伝わるものなのです。

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