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ホームラン王・王貞治(3)

■江夏投手との対決
 
昭和46年…王選手は、生涯忘れられない本塁打を一本放っている。
打った後、ベースを回りながら興奮して涙が出たのは、868本の本塁打の
中で、江夏から放ったこの1本だけ!
 
前年、荒川コーチが巨人を退団…王選手は一人調整に励んでいた。
シーズン後半から、過去・経験したことのない不調に陥り、どん底状態に…
9月15日甲子園球場…その日王選手は阪神・江夏投手に、3打席連続
三振を喫していた。
 
試合は2対0…阪神が勝利を目前にした9回裏…4打席目、打席に立った
王の耳に、失笑と同情が混じった声が、スタンドから聞こえてきた。
二死二・三塁…敬遠かと思っていたら、江夏投手は平然と攻めてきた。
直後、起死回生の逆転ホームランを右翼席に叩き込んだのです…。
 
球界屈指の江夏投手との対決は、戦国武将が名乗り合っての一騎打ちに
例えられる…真っ向ストレート勝負で挑んできた。
「対戦ピッチャーで、力負けすることがあったのは、江夏くらい」と王選手は
語る。
二人の対決は321回に及び、本塁打20本、三振57と、球史に残る名勝負
を後世に残した。江夏投手も「王さんに対しては、一度も逃げなかった…
これが僕の一番の誇り」と語っている。
                            読売新聞「時代の証言者」
 
 
817 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「ホームラン王・王貞治(3)」
 
王貞治が人生を振り返るとき、何か不思議な力で自分が導かれていることに気付くのです。
以下は一本足打法を体得した後の、王選手の逸話です。
 
14.[真似のできない猛練習が、世界の王を育てた]
昭和40年…王選手は最大のスランプに陥っていた。
川上監督は「練習のし過ぎ…」と言ったが、王選手は不器用…練習を休むと不安が増してくる… 「打てなくなったらどうしよう」という不安が付きまとう…練習で克服するしかない。
 
長嶋選手はタイミングと気力で打つタイプ…怪我をして一週間休んでも、 打席に立てば打てるのです。
王選手は、心も体も練習にのめり込むことで、打つ感触をつかんでいくしかない。 技術とフォームがしっかりして、「よし今日はいけるぞ!」とならなければ、打てない…だから練習する。
 
いつも「もっと力を伸ばしたい」…そう願って練習する…昨日より今日、今日より明日と… 気づいたことはメモにして残す…中身は技術的なこと、精神的なことだが、 後者の方が多かった。
アメリカの大打者ハンク・アーロンに会ったとき、スランプ克服法を尋ねた… 答えは「ボールを一球でも多く打つ練習をすることだよ」
 
15.[怪我に強い骨太の体が、大記録を成し遂げた]
100年に一人の天才と言われ、鳴り物入りで入団しても、怪我には勝てない。
ヒジや肩、腰を痛めて去っていった選手の、なんと多いことか。
王選手は、ケガで休場するということはまれだった。
 
昭和43年9月18日、阪神のバッキー投手が王選手の頭すれすれに投球した…王選手 「そんなことをしては駄目だ」と言いに駆け寄ったら…両軍大乱闘になった。
その直後、権藤投手のシュートをよけ切れず、頭に死球を受けて病院へ…全治2週間。
試合は、長嶋選手が逆転本塁打を放って、阪神から勝利をもぎ取った…巨人・ 阪神戦は劇的な展開になることが多い。
入院した王…三日後の21日の中日戦にはもう出てきて…42・43号の連続ホームランを放ち、 通算350号を達成した。
 
16.[必死にV9を重ねていく中で、記録が重ねられていった]
巨人の9連覇は昭和40年に始まっている。今年こそはと、どのチームも総戦力で挑んでくる。 巨人を倒したいと、ローテーションを変えてでも執念を燃やし、主力投手をぶつけてくる…。
 
受けて立つ巨人の選手も必死だ…最後まで諦めない根性がチームに浸透し、王選手も長嶋選手も、 V9の戦いの中で鍛えられ、成長していった。
                                                     読売新聞「時代の証言者」

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