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落語・富久(とみきゅう)

今年最後のメルマガです
今年一年を笑い飛ばして、新しい年へ・・

皆さま・・良いお年をお迎えください

 

 

江戸小噺「討ち入り」


「四方都(よもいち)、元気か?」


『 元気どころじやないわ。
ゆうべは吉良さまのお屋敷に泊まったのだ
が、明け方赤穂の浪士が押し入ったので、
あわてて屋根に這い上がって命拾いをした
が、危うく巻き添えを喰って命を落とすと
ころだった 』

「 おかしなやつだ。
お前は眼が不自由なのだから、苦労して
屋根の上などに逃げなくても、縁の下に

もぐり込めばよかったではないか 」


『それがさ、縁の下は吉良さまのご家来衆で

一杯で、中には入れてもらえなかったのさ 』


                       山住昭文「江戸のこばなし」



1238 【吉村外喜雄のなんだかんだ】

~ことば遊び~ 「落語・富久(とみきゅう)」


古典落語の「富久」は、八代目桂文楽や、五代目古今亭志ん生の
十八番で・・
いずれも個性的で味のある富久を演じたそうです。


♪年末ともなると、人も物もあわただしくなってくる。

そんな中、浅草の長屋に住む久蔵は、仕事もなく、金もない
わびしい生活を送っていた。

この男、人間は実直だが、大酒飲みなのが玉に傷・・

酒の上での失敗がもとで、仕事を失ってしまった。


そんな男のところに、大家が一枚の富くじを持ってやってきた。

「一番富に当たれば千両、二番富でも五百両だ」と言われ、
その気になった久蔵は、なけなしの一分で、
その「松の百十番」という札を買った。


もし当ったら堅気になって、売りに出ている小間物屋の店を買い、

日頃から岡惚れしている、お松を嫁にもらい・・

神棚に札をしまい、楽しい空想を巡らせながら、一升瓶をあおって
大いびき。

数時間後・・半鐘が町に鳴り響く
そら、火事だ! どうも、芝の辺りが燃えているらしい。

「たしか、久蔵が酒でしくじった田丸屋って・・あそこら辺じゃないか?

見舞いに行かせるか」


と言うわけで、長屋の連中が久蔵を起し・・
話しを聞いた久蔵・・
喜び勇んで駆け出した。

駆けつけてみると・・期待通り旦那が喜んで・・出入りが許された。
久蔵は大喜び・・。

火事見舞いのお酒が届くと・・もう、そっちが気になって何も手につかない。 それを見た旦那は苦笑して「飲むのはいいが・・飲み過ぎるなよ」

いつしかベロベロになって寝込んだところで、また何処からか半鐘の音・・

「今度はどこだ?」   『浅草の辺りじゃないか』

「じゃあ・・久蔵の家がある方じゅないか」

慌てて久蔵を起し、提灯を持たせて帰したが・・
久蔵の家はみごと灰になっていた。


住む家を失った久蔵・・旦那の好意で、田丸屋の居候になった。

数日後、奉加帳を持ってお得意様を回っているうちに、

やって来たのは深川八幡の境内・・

ちょうど、富くじの抽選をやつていたので、当り番号を覗いてみると・・
な、なんとそれが”松の百十番”


「アターッ!タータッタタッタッタッ!」

『お札をお出し』

「札は・・焼けちまってない!」

当り札がなければダメと言われ・・諦めきれずに泣く泣く帰る道すがら・・
長屋の鳶頭と鉢合わせ!


『待てど帰って来ないんで・・心配したぞ。

まぁ、布団と釜は出しといてやったから・・安心しろ。
あ、それと神棚もな』

「ど、泥棒!神棚を出せ!」

半狂乱でつかみかかる久蔵。喉首を締め上げられた鳶頭は・・

目を白黒。

『そうなのか・・運のいいやつだ。
  お前が正直者だから神様が優しくしてくれたんだ』


「へえ、これも神棚のおかげです・・近所にお払いをいたします」

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