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ことば遊び 「落語・猫の皿」

1562 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
ことば遊び 「落語・猫の皿」

落語に出てくる「道具屋」弥太郎は、大変なお人好しだ
が、猫をだしにして旅人から3両巻き上げる、したたか
な爺さんもいる。柳家小三治の十八番ネタです。

♪ある道具屋、御維新このかた、あまりいい掘り出し物
が見つからないので、官軍が来ると、江戸を逃げ出した
人たちが、田舎に逸品を持ち出したに違いないと、
地方をずっと回っていた。

中山道を歩いていたとき、茶店があったので休んでいく
ことにした。
そこの親父、旧幕時代は根岸辺に住んでいて、上野の戦
を避けてここまで逃れてきたが、せがれは東京で所帯を
持っているという。

よもやま話しているうちに、何気なしに土間を見ると、
猫が飯を食っている・・皿を見て道具屋、内心驚いた。
絵高麗の梅鉢の茶碗といって、下値に見積もっても
3百両は下らない品物。

とても猫に飯をあてがうような皿ではない。
さてはこの親父・・皿の価値を知らないと見て取った
道具屋、何とか格安で皿をだまし取ってやろうと考え、
急に話題を変え・・

「時に親父、いい猫だねえ・・
  こっちへおいで、ハハハおまえのところの猫かえ」
『へぇ、猫好きですから5、6匹おります』

そこで道具屋、ぜひこの猫を譲ってほしいと持ちかけた。

親父が妙な顔をしたので、「ハハン、これは」と思って
「ただとは言わない、3両でどうだい・・」
ここが勝負どころと押すと・・しぶしぶ承知した。

さすが道具屋は商売人・・興奮を表に出さずさりげなく
「もう一つお願いがあるんだが、その皿も一緒に
  くれないか」
ところが親父しらっとして『それは差し上げられない、
皿ならこっちのを』と、汚い欠けた皿を出す。

あわてて「それでいい」と言うと、『だんなはご存知な
いでしょうが、これは私の秘蔵品でして、絵高麗の梅鉢
の茶碗、3百両は下らない品・・3両じゃ譲れません』

「ふ~ん、何でそんな結構な皿で猫に飯を食わすんだ」
『それがだんな、この茶碗で飯を食わせると、
  何故か猫が3両で売れますんで・・』

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