心と体の健康「認知症という病」
認知症という病は、人間らしさの一部とみな
されるものが、一つひとつ失われていくのを
自覚したとき、初めて知ることになる。
日頃、当たり前に思っている間は気づくこと
がない。
例えば会話・・相手の言葉を受けて答えたり
質問したりするには、直前に語られた内容を
ごく短い間、覚えている必要がある。
この”短期記憶”をなくすと、言葉のやりと
りができず、同じ会話を繰り返すようになる
また”時間と空間の認知”は、あらゆる
行動の基本になるが、この能力が壊れると、
居場所を探してさまようことになる。
認知症の前段階「軽度認知障害」を発症した
ころ、『まるで暗い洞窟の中へ入って行くよ
うな気持ちになった』という。
ついこの間まで当たり前にやっていたことが
出来なくなる・・
今がいつで、ここがどこか?わからなくなる
不安と孤独は、患った本人しか分からず、
幼い少女のようにおびえるのです。
5年後の2030年には、65歳以上の
7人に1人が認知症になるという。
老いとともに誰もがなりえる病・・
私たちはその病に苦しむ人たちのことを、
どれほど理解しているだろうか・・
日経新聞「春秋」