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2006年08月 アーカイブ

2006年08月01日

戦後教育における課題とニーズ

九年前のこと。武装ゲリラが占拠を続ける、ペルー日本大使館人質事件取材
のために、首都リマに出張した新聞記者。
国は貧しく、赤信号で車が止まると、子どもが駆け寄ってくる。
車の窓ガラスを拭いて、わずかばかりのお金を貰うためである。

取材班に現地の運転手が付いた。穏やかで働き者の彼の労をねぎらおうと、
食事に誘った。大きな体なのに半分以上食べ残した。包んでもらって店を出た。
家族に持って帰るのだろうと思っていたら、彼は食事の包みを、道端の子ども
達にそっと差し出した。「お腹が空いていたようだから」と、はにかむように言う。

飽食の国から来た記者、「ハッ」として、黙ってうなずくだけだった…。

「中日春秋」より

【心と体の健康情報  - 255】
~子育て心理学~
「戦後教育における課題とニーズ」

子殺し、親殺しなど、些細な理由で安易に人命を奪ってしまう、今の世の中。
そんな殺伐な事件が頻発している。社会のモラルの低下は、今や憂うべき状態です。どうしてこんなに荒んだ世の中になってしまったのだろう? 
理由を求めれば、戦後教育のあり方に問題があるように思うのです。

少し前の、私の親の世代は、礼儀正しく親切で、公徳心が高く、真っ正直な人が多かったように思う。今のように「知らない人に声をかけられたら逃げなさい」などと、子供たちに注意を呼びかける、そんな物騒な世の中ではなかった。

以下、(株)ベンチャー・リンク 「いま教育に求められているニーズ」から、戦後子ども達の教育環境が、どのように変化していったのかを、振り返って見たいと思います。
戦後の政府の教育政策に、マスコミの批判が集まった、最初の大きな問題は、1960年代、団塊の世代の成長とともに、急速に加熱した「受験戦争」だった。
学歴社会、競争社会の弊害が声高に叫ばれ、受験のプレッシャーによる「自殺の増加」や、詰め込み教育についていけない「落ちこぼれ」 などが、問題視されるようになった。

母子で受験勉強に邁進する様を揶揄する、「教育ママゴン」という流行語が生まれ、70年代まで長く続いた。これを重くみた文部省は、到達度別クラス編成などの試行を経て、1977年「ゆとり教育」を打ち出し、それが現在まで続いている。
文部省は、知的能力学習に偏重していた過去を反省して、
(1) 授業時間の削減
(2) ゆとりの時間を設け、児童生徒の「個性」に応じた教育指導を行う
といった内容の改善を試みたが、「家庭内暴力」「校内暴力」「登校拒否」
「いじめ」
など、更に問題が広がっいった。そしてそのどれもが、現在も明確な解決策を見出せないままでいる…。

この頃マスコミでは、「日本がアメリカと戦争したことを知らない高校生」 「分数ができない大学生」などが話題になった。この傾向はその後も続き、近年では、「円周率=3」や「天動説を信じる子供たち」が、大きく報道された。

バブル崩壊後、国全体のモラル低下を映し出す鏡のように、「伝言ダイヤル」に始まる「援助交際」の増加や、「少年犯罪の凶悪化と低年齢化」 といった問題から、「人を殺してはいけない」「性を売り物にすべきではない」という、最低限の規範さえ持たない、少年少女の存在がグロースアップされ、社会に衝撃を与えた。
こういったことは、現在も改善されることなく、「学級崩壊」「引きこもり」なども、 いっこうに減らない。このような状況のもと、親たちが学校に期待することは、 「基礎学力の充実」の一位は変わらないとして、ほぼ同数の保護者が「道徳などの人格教育」を、学校に求めている。

2002年の学習指導要綱改訂では、「総合学習」が登場。同時に学習内容がさらに削減されて、「週休二日制」が実現された。
空いた「土曜日の時間」に対する受け皿として、学習塾に通う子どもが増え、子ども達にゆとりが感じられない状態が続いている…。

勉強の出来る頭の良い子に育てようと、躍起になっているお母さん…。
我が子の幸福を願うとき、社会のお役に立てる、弱い者に慈しみの目を向けることが出来る、そんな優しい心の人間になることの方が、大切だと思いませんか?

2006年08月04日

「"アガリクスに発ガン物質が…"のマスコミ報道、犯人は残留農薬だった!」

マスコミほど怖いものはない。それまで信じていたものが、一回の報道で今まで
積み上げてきたすべてを否定され、信用を失墜してしまう。そのニュースの元が、
NHKだったり、"みのもんたの朝ズバッ"だったりすると、100%信じてしまう。

今お騒がせ中の「パロマ事件」のように、企業倫理感が問われる世の中。アガリ
クスも、そのように思われ、問題の企業は一社だったにも関わらず、アガリクスの
すべてを否定され、全てが悪者にされた。

その世界のことは素人同然の記者が、得た情報をオーバーな推測記事にして、
新聞やTVに流す…。社会的反響の中、専門家からその報道の間違いを指摘され
ると、忘れた頃になって「○○日付け報道は間違いでした。お詫びいたします」。
たった一言のお詫びで、さっさと幕を降ろしてしまう。後は知らぬふり…。

何一つ問題のない企業であっても、長年培ってきた「信用」を失墜し、失意のどん
底に落とされる…。そんな事例を幾つも見てきた。訴えようにも、マスコミの壁
は厚い。被害を受けた企業は、叩かれ損。運がなかったと諦めるしかない。

【吉村外喜雄のなんだかんだ  - 135】
~食と健康~
「"アガリクスに発ガン物質が…"のマスコミ報道、犯人は残留農薬だった!」

約一ヶ月前、「アガリクスに発がん性物質が! ガンに効くかは疑問…」と、
マスコミで報道され、アガリクス製品の信用が失墜した。
今日は、アガリクスの信用回復のために、書かせていただきます。

アガリクスの原産地はブラジル。原住民が薬草として珍重していたことから、
有名になった。ブラジル産は、量も少なく、そのほとんどがアメリカに輸出さ
れ、日本にはわずかしか入ってこない。
日本に出回るアガリクスは、中国産や、国内で人工栽培されたものが多い。
人工栽培のアガリクスは、栽培高麗ニンジン同様薬効が落ち、価格も安い。

以下、医療機関向け専門情報誌「メディカル・ニュートリション」第88号、
7/1発行の記事より抜粋したものです。

[アガリクスに付着する残留農薬に問題が… ]

「今回摘発されたメーカーは、中国全土から集められ、乾燥処理した
アガリクスを輸入。粉末処理して、顆粒状にしたものを販売していた。

中国から輸入される食品で、2006年度、人体に有害な残留物が
見つかり、廃棄または、積み戻ししたものは"19品目"にもなる。
「蜂みつ」「冷凍蟹」「スナップ・エンドウ」「冷凍さわら照り焼き」
「魚肉ねり製品」「ゼリー菓子」「養殖うなぎ」「たけのこ」「落花生」
「きくらげ」「ハトムギ」など、私たちにはなじみ深い食品ばかり…。

自然界の薬効植物の研究を行っている、金沢大学自然科学研究所は、
この報道の根拠を確かめようと、分析実験したところ、アガリクスに
付着する残留農薬の疑いが強いと見た。農薬に含まれる化学物質
が主犯格と考えられると、薬理学会に報告した。

中国産アガリクス。害虫駆除のために殺虫剤が使われ、保存のため
に消毒剤、洗浄のための逆性石鹸が使用されている。中国から輸出
される他の農産物同様、残留農薬や化学物質が検出されたのです。

金沢大学の大野教授は、「過去、 全国の研究機関の発表では、アガ リクスを長期連用して、弊害・毒性が確認されたという論文報告は皆無。
むしろ安全性は高く、これまでの研究からは、メタボリック・シンドロームの予防や、NK活性の上昇など、機能食品として十分な効果が確認されている」
と、語る。」

[栽培から製造・販売すべて一貫生販メーカーで、
産地特定が明らかなノエビア]

中国の生産農家はアガリクスを食さない。 生産効率を高めるため、毒生の多い
農薬を多用。加えて、まだまだ不衛生な中国の農村。牛糞が付着したまま現地
乾燥され、そのまま輸出されたものが日本に出回ったりする。
問題が見つかっても"原産地中国"というだけでは、産地の特定のしようがない。

それに対しノエビアは、台湾に自社管理農園を持つ。スピルリナ(クロレラの
一種)水耕園と、露地栽培のアガリクス農園を経営し、生産・衛生管理は徹底。
栽培から製造・販売すべてに責任を持つ、一貫生販メーカーで、産地特定を明
らかにしている数少ない国内メーカーです。

[ノエビアは、アガリクスが持つ、幾つかの有効成分のみを抽出]
サプリメントには、 ビタミンCやEのように、有効成分を抽出し、何十倍に濃縮して、
販売しているものが多い。
ノエビアのアガリクス。長年、大学と共同研究を重ね、アガリクスの有効成分
「ベーターD・グルガン」「多糖タンパク複合体」などを抽出し、高濃度に精製、
市場に送り出す。不必要な成分や不純物は、生産過程で排除されるので安心。

<自然を科学するノエビア/特許出願件数は、 花王に次いで業界二位>
自然派化粧品を世に送り出して30年。 「自然を科学する」を企業ポリシーに、
世界中に薬草を求め、研究開発に余念のないノエビア。
2004年度の特許出願件数は、花王に次いで業界二位。薬草の研究では、
世界をリードする企業としてその名を知られ、毎年学会での発表が注目される。

昭和薬科大学の田代眞一教授は、「サプリメントの中には、アガリクスのように、
疾病の予防や治療に役立つ、優れた商品があります。今回のような問題が
発生し、使用を中断することで、逆にそのサプリメントを必要とする人の、
健康上のリスクが高まってしまう」
と指摘する。

報道したTV局や新聞社。その内容に誤解があり、記事に間違いがあっても、
信用回復に手を差し伸べるようなことはない。警察が誤認逮捕し、留置所に入
れられ、後日間違いでしたと放免されても、侘びを入れるだけ。被害に合った
人が信用を無くし、苦渋の思いをどれほどしようと、知ったことではないのです。

2006年08月08日

遊びって大切

動物園の猿山の猿を見ていると、飽きることがない。猿山には一匹のボス猿が
いて、ピラミット状の組織を束ね、にらみを利かせている。猿たちは、仲良く蚤を
取り合ったり、じゃれ合ったり、スキンシップに余念がない。

子猿は遊びを通して、猿社会での秩序を身に付けていく。若いメス猿は、お母さ
ん猿を見て子育てを学習する。ところがまれに、子どもを生んで、我が子を放置
してしまう母猿がいる。
仕方なく飼育係は、生まれたばかりの子猿に哺乳瓶をあてがい、24時間付きっ
きりで、お母さん猿の代役をする。一人歩き出きるようになったら、一日でも早く
野性の群れに戻さなければならない。猿社会に入れてもらえなくなるからです。

群れに解き放たれた子猿。喜び勇んで一目散に群れの中に飛び込み、餌に飛び
つく。ボス猿が飛んできて歯をむき、小猿を群れの外へ追っ払う。子猿は、何とか
群れに入れてもらおうと、群れの周りをうろつくき、近づこうとするが、群れに威嚇
される。仕方なくすごすごと、飼育係のところへ戻ってくる。
群れの序列やルールを、子猿たちの遊びの中で学ばなかったからです。

【心と体の健康情報  - 256】
~子育て心理学~
「遊びって大切」

以下、金大大学院教授 きむらるみこ「自分探しのてがかり」より

有名な幼稚園から進学した小学生。土曜と日曜、午後1時から8時
まで、二日間に14時間も"塾"に行っている。
知人が母親に「大変ですね」と声をかけると、「子どもが勉強しない
で、何をすることがありますか?」との返事…。

このようなやりとりを聞いて、誰も不自然には思わない。このような勉強一本
やりの環境に閉じ込められている子どもが、多いのでないでしょうか?
そうした子ども達、自分が勉強していることの意味を正しく理解して、塾へ通
っているだろうか…?

この母親は、子どもの成長に"遊びが大切"だとは思っていない。
子どもは遊びを通して多くのことを学習します。遊具を通して、仲間と
楽しく遊ぶことで、様々な知恵が付き、心から笑い、ストレスを発散す
ることができます。

私の子どもの頃は、大きい子、小さい子みんな一緒に、一日中路地で遊んだ。
意見や感情がぶつかり合い、よく喧嘩をした。感情を抑えきれず、相手と殴り合っ
たりしたが、「手かげん」することを知っていた。今の若者のように、感情を
抑えきれずに、相手を殴り殺してしまう、などとということにはならなかった。
子どもの間のもめ事…。親に言いつけることもなかったし、親が子どもの喧嘩に、
しゃしゃり出ることもなかった。

そうやって、遊びという集団の中で体験したことが、人との交わり方、距離の
置き方、上下関係など…、遊びを通して、社会性を身に付けていったのです。
近頃は、こうした経験を踏まないまま、親に従順であることがよい子と躾けら
れ、反抗期を経験しないまま、社会人に巣立っていく。

社会に出て初めて、自分とは異なる様々な考え方の人に従わなければならな
いことに戸惑う。そんな時、子どもの頃の体験がものをいう。社会性を身につ
けていないと、人間関係がわずらわしく、問題が解決出来ず、ストレスを抱え
込んでしまう…。
親に尋ねれば、「いい歳をして、そんなことも分からないの…」と一喝されそう。
社会人になって、理由もなく会社を辞め、部屋に閉じこもってしまうのは、
そうした理由からでしょうか…?

「人より勉強が出来ると良い子」といった価値観で育った、彼らの
思考や行動は、物事に対処する方法論がなく、「右か左か」といった
オール・オア・ナッシングの考え方をしようとする。

思春期の子どもの凶悪事件が、連日のようにマスコミに報道される。
ニュースになるのは氷山の一角。事件を起こす子どもは、決まって
誰からも「いい子、やさしい子」と言われる。
自分本位で自我が発達していない、弱い子ども達なのです。

幼児期から少年期にかけて、子ども達が身に着けなければならない
大切な課題、それは「大いに遊ぶ」こと…。
子どもの頃に、その課題をやり遂げるには、母親や周囲の大人たち
の理解の有無が、大きく影響する。子どもが身につけなければなら
ない、大切な育ち合いの機会を、大人の見栄や、間違った子育てで、
奪ってはならないのです。

2006年08月11日

「ドイツの降伏がもう少し遅れていたら、日本は分断国家になっていた…」

夏祭りの季節になった。ねぶた祭り、徳島の阿波踊り、越中おわら風の盆、
全国で繰り広げられる故郷の祭り…日本の祭り。この夏も胸がときめく。
お盆は故郷で、浴衣姿に盆踊り…"よくぞ日本人に生まれけり"である。

ところで、中国には日本でいう祭りというものがない。共産党政権になった時、

庶民から"宗教と祭り"を取り上げ、禁止してしまった。「何かを理由に住民が
集まれば、反乱になる」というのがその理由。韓国もまた、その昔、李王朝が
禁止してしまった。
日本は農耕民族。村人みんな助け合い、農作業をする。春には豊年満作を祈り、
秋には実りに感謝し、神様にお供えをして、みんな仲良く村祭りを楽しんだ。

【吉村外喜雄のなんだかんだ  - 136】
~歴史から学ぶ~
「ドイツの降伏がもう少し遅れていたら、日本は分断国家になっていた…」

明日からお盆休み。そして終戦記念日の8月15日がやってくる。
そこで今日は、私たちの知らない終戦秘話を…。

今、私たちが平和に暮らす日本も、歴史の歯車の回りようによっては、朝鮮半
島のように国家が分断され、同じ民族が銃を向け合うことになっていたかもし
れない。終戦直前の国際情勢を振り返ると、日本が分断を免れることが出来
たのは"幸運"としか言いようがない、それこそ紙一重だったのです。

日本より一足先に戦争が終結したヨーロッパ。共産国ソ連の指導者スターリン
は、占領下のポーランド、ルーマニア、ブルガリアで、ソ連の息のかかった政
権をしゃにむに押し立て、反政府勢力の排除と弾圧を強行した。

ヤルタの開放宣言に背くソ連に、米英は強く抗議したが、スターリンは耳を貸 そうとしない。ドイツと東ヨーロッパ諸国への戦後処理をめぐって、ソ連側のう んざりするような動きを見たトルーマン。日本の戦後処理には、ソ連を断じて 参加させない…と心に決めた。

日本に無条件降伏を要求する「ポツダム宣言」は、米・英と中国の三首脳の名に おいて発表された。だが、中国を代表する蒋介石は、ポツダム会議には参加していない。
あと一国、終戦間際になって日本に参戦したソ連。スターリンは、ポツダム宣
言の作成にはなんの相談もなく、なにも知らされなかった。米国の言い分は、
「ソ連と日本は、中立条約で結ばれて、戦争状態にあったわけではないから、
ソ連に相談を持ちかけるのは、却って迷惑するだろう」というもの。

たくみな言い抜けだが、ソ連を意図的にポツダム会議に加えなかったのです。
1945年7月26日、米国はポツダム宣言を世界に公表した。その少し後に、
宣言書をソ連に届けた。受け取ったモロトフ外相は、いら立ちを隠さなかった。

終戦の日8月15日に、トルーマンはソ連に通告した。
「満州、朝鮮半島38度線以北、サハリン(樺太)南部に展開する日本軍は、 ソ連に降伏する」
(この通告によって戦後60年、現在も朝鮮半島は分断国家のままである)

なぜか、千島については何も記されていない。さっそく翌日の8月16日、 ソ連は反応した。
1.ヤルタ会談での取り決めにより、千島列島を、日本軍がソ連に降伏する地域に含めること。
2.北海道、釧路から留萌まで引いた北半分を、日本軍がソ連に降伏する地域に含めること。

ソ連は、北海道北半分の占領を要求してきた。 スターリンによれば、日本は1919年~21年にかけて、ソ連領シベリアに 出兵して占領下に置いた。「もし、ソ連が日本の領土の一部をも占領できない としたら、ソ連の国民は大いに憤慨するだろう」と、警告してきた。

待ち構えていたように、トルーマンの返報は素早かった。
1.千島列島の日本軍が、ソ連に降伏することには同意する。
2.北海道北半分の占領については、にべもなく「拒絶」。
   そして、北海道の日本軍は、マッカーサー将軍に降伏する。

・もし、ドイツの降伏が遅れていたら…
・もし、ソ連の参戦がもう一ヶ月早かったら…
・もし、北海道にソ連軍が上陸していたら…
・もし、米国がソ連の要求を呑んでいたら…

どれか一つでも実現していたら、日本の戦後処理に大きく影響し、 日本の国土は二つに引き裂かれ、分断国家になっていただろう。

2006年08月18日

「日本の戦後賠償」

8月15日、小泉首相は靖国神社に参拝した。中国は今日本に対し、必要なまで
に戦争責任に対する政府の姿勢を非難し、謝罪を求めてくる。
靖国問題は国内問題と、首相は弁明するが、中国は追求をゆるめようとしない。

そうした中国の姿勢に、何かが胸に痞えたような思いの私ですが、ここで注目す
べきことは、最大の戦争被害国中国が、一切の戦後賠償請求権を放棄しているこ
とです。そういった過去のいきさつを知らずに、中国政府の姿勢を憤っているのです。

一方、中国の国民もまた、戦後保障に変わる、日本からの円借款、政府開発援助
(ODA)が、この20年で3兆円にもなり、天津・上海・広州の電話通信網や、衡陽ー
広州間の鉄道建設、北京の下水道など、中国各地の社会・経済インフラ整備に、
多大な貢献をしてきた事実を、全く知らないのです。


【吉村外喜雄のなんだかんだ  - 137】
~歴史から学ぶ~
「日本の戦後賠償」

太平洋戦争が終結して60年になる。日本は、戦争責任をどのように果たして
きただろうか? 戦後賠償に多額の血税が使われてきたことに、さしたる関心
もなく、知らないまま今日まで暮らしてきた。
そこで今日は、あの「ポツダム宣言」とは、「サンフランシスコ講和条約」とは、
どのようなものだったのかを、書き出してみました。

終戦直前の7月、米英中の三ヶ国首脳が発した「ポツダム宣言」。敗戦国日本の
対外賠償の原則が示された。同宣言は、日本に"金"ではなく、"物"による賠償を
求めた。第一次大戦後、ドイツに過酷な現金賠償を科して、結果、ナチスの台頭
を招いたことへの反省があったからです。

とはいえ、占領初期の米国の対日賠償要求は厳しい内容だった。駐日大使は
「最小限度日本経済を維持する以外に必要でないものは、すべて日本から除去
する」と発表した。
(最小限度とは、日本が侵略した東南アジア諸国より高くない生活水準をいう)
これに従い、日本国内の財閥は解体され、産業施設は撤去され、取り外した工
作機械は、中国、フイリピンなどの国々に搬出された。

その後の米ソ冷戦の進行に伴い、日本を弱体化させる産業施設の解体は中止
された。とりあえず、日本への物的賠償請求を中断することにしした。
冷戦が、「自立日本建設」の方向に、転換を促したのです。

1951年(昭和26年)「サンフランシスコ講和条約」が結ばれた。
連合国は、「すべての賠償請求権」と「戦争中日本軍がとった行動から生じた
損害の請求権を放棄する」ことを、規定に盛り込んだ。
連合国48か国との講和条約によって、日本は国家としての主権を回復した。
このに条約に沿って、米国など大半の国が対日請求権を放棄。
その後、ソ連も中国も、インドも請求権を放棄した。

一方で、日本が占領した国に与えた「損害及び苦痛に対して、賠償義務を定め、
賠償を希望する国と速やかに交渉を開始しなければならない」とした。
支払いは金銭ではなく、日本の「生産物・技術・労働力」などを無償で提供する
方式が原則とされた。
以後、東南アジア諸国と個々に話し合い、賠償する国、賠償を放棄する代わり
に、無償・有償援助を求める国など、戦後処理が進められていった。

日本の賠償や経済協力は、アジア諸国のダムや発電所などのインフラ整備に
役立つ一方、日本経済の復興にも貢献した。物による賠償は、日本製品への
"なじみ"を作り、アジア市場進出に効を奏した。
例えば、ミヤンマーに供与した日本製自動車は、それまで市場を独占していた
英国車を、駆逐してしまった。

・日本が戦後賠償に応じた国…フイリピン、インドネシア、ベトナム、ビルマ
  賠償額総額    1664億円

・無償貸与した国…韓国、マレーシア、カンボジア、ラオス、ビルマ、タイ、
             シンガポール、モンゴル、ミクロネシア
  無償貸与総額  1780億円

・有償で資金提供した国…韓国、フイリピン、インドネシア、ベトナム、ビルマ
  有償貸与総額  3408億円

台湾の他、最も被害の大きかった中国、そして大国インドは、日本からの無償
・有償、いずれの援助も受けていない。日本が中国政府に対して、卑屈なまで
に弱腰なのは、こうした事情があるのです。
                                     情報源/読売新聞


2006年08月22日

日本の若者の意識

病院の診療費を払わない人が増え、病院経営に支障が出始めているという。
子どもの給食費を払わない家庭も増えてきている。赤字になって支障をきたし、
困った教師たちが自腹を切って、補っているという。
給食費を払わない家庭の子も、他の子どもと同じように給食を食べている…。

生活が貧しくて、給食費を滞ったのは、50年も前の、私の子どもの頃の話。
今は、払えるのに払わない…。先生が家庭訪問して督促すると、「新車を買った
ばかりだから」「海外旅行に行って、お金がない」など、ちゃんとした理由はある。

石川・富山の両県で、高速道路料金所のETC不正通過が468件も発生。
道路法違反及び、器物損壊罪の対象なのに、摘発はゼロ。(8/6北国新聞)
NHKの受信料未払いも、自分勝手な理屈がまかり通り、払わなくても、払った
人と同じ。罰せられることがない。この奇妙な社会の優しさ…、何なんでしょう? 

このような身勝手・甘えを放置したら、モラルの荒廃を助長するだけ…。
「正直者がバカを見る」世の中にはしたくない。石川県は、医療費の支払いに
応じない人に、裁判所の督促を開始した。

【心と体の健康情報  - 257】
~子育て心理学~
「日本の若者の意識」

上場企業の20~30歳代の正社員の75%が、「現在の仕事に無気力である」
と野村総研が発表した。その4割以上が転職を希望しているという。

仕事での成長が感じられず、自分の仕事の社会的意義も感じられない。
自分に合わないからと、容易に転職を考えてしまう。環境に自分を順応させよ
うとする、努力の姿勢が見られない。そんな、今どきの若者の姿が浮き彫りに
なってくる。
家庭も先生も…、モノ心がつかない子どもの頃から、ひたすら良い学校、良い
大学を目指し、一部上場の一流企業に就職することが、人生幸せの道と教え
てきた。念願叶って大企業に就職。人生の幸せを手に入れたはずなのに…。 
何で、こうなるの?

以下、川人正臣氏が編集出版した、衆議院議員・小野晋也「日本人の使命」から
の抜粋です。

戦後六十年、焼け跡のどん底から、ひたすら豊かさを求めて頑張ってきた日本
人。お陰で日本は豊かになった。家も手に入れた。お金も生活に困らない程度
に蓄えた。今に満足し、何不自由ない日々の暮し。

それ故「将来どうなりたいのか?」、将来への方向が見い出せないでいる。
「今が楽しければいい」と、将来のことを考えようとしない、そんな若者が多く
なってきている。
以下、2002年に日本・アメリカ・中国の高校生を対象にした、調査結果です。

■日本の高校生が三国の中で最も高かったものは…
  [自分にはあまり誇れるものがない]
  日本 52.7% アメリカ 23.8% 中国 22.9%

 [自分はダメな人間だと思うことがある]
  日本 73% アメリカ 48.3% 中国 36.9%

 [成功するためには、 努力より運のほうが重要である]
  日本 38.9% 中国 27.8% アメリカ 20.8%

■日本の高校生が三国の中で最低になっているものは…
  [適正のあるなしに関係なく、 やればできると信じている]
  アメリカ 91.2%  中国 81.1%  日本 75%

 [計画を立てるときは、 それをやり遂げる自信がある]
  アメリカ 86.3%  中国 73.5%  日本 38%

日本の青年は、各国と比較する中で、自分自身の責任で「志」を立て、
生きていこうという気持ちが、非常に弱いことが数字に表れている。

(一) 自信がなく、元気がない。自己否定的傾向が強い。
(二) 現状に甘んじ、今を楽しもうとする傾向が強い。
    将来の夢に向かって、積極的にチャレンジしようとする意識が弱い。
(三) 自分で計画を練り、責任を負うという自立的生き方よりも、
    運に任せた、依存的生き方を思考する。
(四) 職業の選択は、組織によって守られる他律的・安定志向が強く、
    人の上に立って、自らの状況を動かしていこうとする意欲に欠ける。

学校の成績を比べるなら、日本の子供はやはり学業優秀です。なのに、困難な
状態や問題に遭遇すると、直ぐ腰砕けになってしまう。お坊ちゃん、お嬢さんに
育てられて、何不自由なく育った家庭環境。自立心に欠け、志がない。
「人生とは…」とか、「どう生きるか…」といったことを、きちんと教えてこなか
った、私たち親や学校教育に問題があるようです。

将来を見出せないでいる若者たちに、致知出版社から、五木寛之先生と稲盛和
夫先生の共著による、「何のために生きるか」が出版された。大きな反響を呼び、ベストセラーになっている。

2006年08月25日

「落語 桃太郎」

■ホールインワンしちゃいました!
今週の火曜日、金沢セントラルゴルフ、I Nの8番151ヤードで、ホールインワン
しました。
先週、大阪の川人さんの会社の研修に参加し、「運を呼び込むには…」と題し、
運にからむ話をしたばかり。それが呼び水になったのでしょうか?
思いがけない出来事に、ビックリ仰天!

幸運だったのは、キャディさん付のコンペだったこと…。普段はセルフで廻る、
プライベートゴルフがほとんど。キャディさんがいなければ、ホールインワンして
も、ゴルフ場は認定しない。一方、不運だったのは、コンペで、人数が多かった
こと…。ちなみに、ホールインワン賞は、キリンビール1年分でした。

ホールインワンなど、今の私には無縁と思っていた。だから、ゴルフ保険に入っ
ていない。幸運の女神は突然やってくる。人生に於いて、何事であれ、わずかな
チャンスを逃さないためには…、「幸運の前髪」を掴むには…、明確な目的意識を
もって日々努力を怠らず、心の準備をしておくことが大切と思うのです。

【吉村外喜雄のなんだかんだ  - 138】
~ことば遊び~ 
「落語 桃太郎」

落語の演目には、親子のやりとりを扱ったものが少なくありません。
「桃太郎」もその一つ。子守歌代わりにおとぎ話を聞かせようとする父親と、
子の掛け合いが面白い。
とくに、桂三四の創作落語の語り口が好きで、たまらなく可笑しい…。

父「健一! 寝んかい」  子『なんで?』
父「なんでちゅうやつがあるかい、子どもが日が暮れたら寝んの、
   当たり前やないかい」        
子『寝むたないねん』
父「子どもがそない遅うまで起きてたら、恐~いお化けや幽霊がでてきよるぞ」
子『お化けや幽霊やて、今は火星まで探査に行く時代やで、おとうはん!
   云うことが相変わらず可愛らしい…』

父「さあさあ、お父はんが面白い話を聞かしてやるさかい、
   聞きながらねんねするんや。 "昔々…"」  
子『何年ほど?』
父「何年ほど、て…、ずっと前から、ここは"昔々"ちゅうのやがな…」
子『なんぼ昔でも、年号というのがあるやろ』 
父「年号もなにも無いくらいに昔や」
子『年号も無いとは、よっぽどの昔やな』  
父「そうや、よっぽどの昔や」

父「"あるところに…"」    
子『どこや?』
父「どこでもええやないかい。親が"あるところ"ちゅうてんねや、
   あるところやなあと、思うとかんかい!」
子『頼りない話しやなあ、そんなことでは、現実感も何もあらへんで』
父「国の名ァも無いくらい昔や…」
子『国の名ァ無いんの? そら、縄文時代やな?』

父「じょ…、知らん知らん、とにかくあるところに…お爺さんとお婆さんが
   住んでいたんや」  
子『お爺さんの名前は?』
父「名前もないッ。それくらい昔や」         
子『歳は?』
父「どつくで!歳も無い。もうええかげんにせェよ、おまえなァ、そないに次々と
   ひっかかってたら…、ファ~… 寝る間もあらへんやないかい…」

何とか、桃太郎の話を子どもに聞かせているうちに…
子『これ、お父うはん…。ああ…寝てしもたがな。今どきの親は罪がないわい』

■桃太郎の話 [その二]
近ごろは生意気な子どもが増えておりまして、うかうかしていると、
大人でもやり込められてしまいまして…

子「お父っつぁん、桃太郎知ってるかい?」   
父『知らいでかいな…』
子「じゃ、こんなの知ってるかい。昔々、お爺さんは川へ洗濯に…」
親『へえ、じゃ昔のおとぎ話と逆やないか…、お爺さんは川へ洗濯なら、
   お婆さんは山へ芝刈りですか…』
子「そうじゃないんだ、お婆さんも川へ洗濯に行って、二人でじゃぶじゃぶ、
   じゃぶじゃぶ、洗ってたんだ…」
親『へえへえ、それから…』   
子「これでお終い」
親『お終いってね、せがれ、小噺ってのは落ちが肝心なんだよ、
その噺じゃ、落ちがないじゃありませんか…』
子「落ちないから、洗ってんだい!」

2006年08月29日

サラリーマン2:8の法則

来年、300万人の団塊の世代が定年を迎える。支払われる退職金は約60兆円。
その使い道が気になる? 銀行の調査によると、一位は住宅リフォームに使われ、
次いで海外旅行だそうです。人生の節目を記念して夫婦で出かけるのです。

4月上旬、日本一の豪華客船"飛鳥2"が、世界一周の旅へ横浜を出航した。
参加費は一人1,600万円。募集早々満室になった。息子に事業を譲ったとか、
定年退職を節目に、夫婦での申込みが多かったという。

この旅行、夫婦で参加すると、新築マンションが購入できる金額になる。
庶民暮らしの私には、お金が無いこともあるが、"もったいない"が先に立ってし
まう。3千万・4千万出しても、世界一周旅行したいと思う人は、お金持ちです。

退職金60兆円。そこから約8兆円のお金が消費に回るという。株や投資信託な
どの金融商品には手を出さず、残りの約50兆円はしっかり貯蓄。企業のお金が
個人名義に振り替るだけという…。
これから定年になる団塊の世代は、それ以前に定年になった人より、生活を
楽しもうとする意識が強く、5~6年は消費の後押しをしするだろうというのが、
その筋の予測。

【心と体の健康情報  - 258】
幸せな人生を歩むために
「サラリーマン2:8の法則」

「勝ち組」「負け組み」という言葉は、企業間競争の中で使われる言葉です。
終身雇用制が過去のものになろうとする中、サラリーマンの世界にも「2:8の
法則」つまり、二割の社員が"総支給給与"の八割を独占し、八割の社員が
残った二割の給与を分け合う時代、実力がモノを言う時代になろうとしている。

今から30年前、セキスイハウスの中間管理職の頃、年に二回、賞与配分の
幹部会が持たれた。丸一日かけて、遡る6ケ月間の業績から、部署ごとの賞与
配分率が決められていった。業績上位と下位の営業所とでは、受け取る額に
最高30%くらいの格差が生じた。

部署に配分された賞与は、部下の業績・貢献度に照らして振り分けていく。
営業社員や、技術社員は40~60万円、内務の女子社員は20~30万円の
範囲で、査定に従い振り分けていく。当然、業績の良い社員と、そうでない
社員の受取額に格差が生じてくる。

年俸制が当たり前になった今、会社への貢献度で評価。役職・業績・能力に照ら
して、毎年給与額が決められていく。
以下、UFJ総合研究所 主席研究員 森永卓郎「年収300万円で人間らしく
生きるか…」からの抜粋です。

年俸制が給与制度の主流になるにつれ、所得層が三つに分類される。
Aクラスは年収一億円以上(事業経営者、経営幹部、トップセール
スetc)。Bクラスは年収三百万円程度の一般社員。パートさんなど
のCクラスは、年収百万円前後。

ほとんどのサラリーマンはBクラスに入る。「百倍の法則」 と呼んで
いるが、一流と二流の間には、百倍の所得差が生ずることになる。
このような格差が社会に広がっていく。これは仕方がないことで、
会社が払える金額は決まっているから、一部の優績社員が高給を
取れば、残る多くの社員の給料は下がらざるを得ない。

吉本興業のような実力がモノをいう世界。桂三枝の年収が一億円。
一方、年収百万円にも満たない、食えない社員も沢山いる。プロの世界では、
早くから「百倍の法則」が働いている。松井と二軍選手の所得格差を見れば分かる。
ホリエモンや村上世彰氏のように、百倍どころか、数年で何百億円稼ぎ出し、
世間を騒がせる新人類も現れてくる。

人生には、二つの選択が考えられる。頑張って大金持ちになるか、
あるいは、年収は三百万円程度と、決して豊かではないが、人間ら
しく普通に生きるか…。
多くの大金持ちは、見かけほど幸せではない。いつもすごいプレッ
シャーにさらされている。自宅にプールがあっても、入る暇もない
くらい働きづめ。なまじ財産があるばっかりに、四六時中、財産を
守ることに心をくだかなければならない。

対して、一般的サラリーマンの生活は、テレビ、冷蔵庫などの耐久
消費財の普及率はほぼ100%。マイカー保有率も70%、家計も
黒字で、贅沢さえしなければ、年収300万円そこそこでも暮らせる。
300万円の年収は、世界の先進国の平均年収でもある…。
ヨーロッパの人たちは、皆、それで生活している…。

周りを見渡すと、我が子の才能を見い出し、幼い頃から鍛えぬき、一流人に育
てるケースが珍しくなくなった。ゴルフの藍ちゃん、卓球の愛ちゃん、イチロー
選手などが良い例。スポーツだけでなく、歌手、俳優、碁士など、実力が問わ
れる世界で、近年目立って増えてきた。

そこまでいかなくても、我が子の才能、優れたところを見い出し、まだ物心つ
かない頃から、スパルタ英才教育を施すお母さん…。ゴルフ練習場で、小さな
子に付っきりで、ゴルフのイロハを教えているお父さんの姿を、よく見かける。

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