2329 夫婦別姓を考える

2329 「吉村外喜雄のなんだかんだ」
「夫婦別姓を考える」

「選択的夫婦別姓制度」の導入を求める声が
高まっている。
日経新聞の調査によれば、国民の63%
賛成する。結婚している女性の半数以上が
「別姓を選択したかった」と答えている。

現在、結婚で姓を変えるのは女性が95%と
圧倒的に多い。別姓が実現したら
「戻せるなら戻したい」と答えた人は29%
いた。
「戻したくない」は41%で、理由は
「結婚後年数がたっている」
「名義変更の手続きが面倒そう」など。
「別姓が選べるなら、役場に提出して戸籍上
別姓でも夫婦として認めてもらう」と答えた
のは男性8%に対し、女性は28%で、
より現状に不満を感じている傾向がある。

現在、仕事や日常生活で”旧姓”を使ってい
る人は全体の25%。その多くは旧姓を名乗
ることに限界を感じてい。
理由は「公的書類は戸籍名」が79%、
「不動産登記や口座開設」は旧姓は認められ
ない」63%が多かった。
「海外では理解されない」は28%だった。

全ての年代と性別で賛成が反対を上回った。
理由に「女性の改姓が前提なのは不平等」と
いうのがあった。
別姓に反対する人は「家族であることを証明
するのが面倒」という。

選択的夫婦別姓への賛否は、男女や住む地域
、年齢によって違いが色濃く出る。
特に若い世代には、別姓の有無がキャリア
選択や結婚の意思に影響してくる。

 

2319 これでいいのか参院選の公約

2319 「吉村外喜雄のなんだかんだ」
「これでいいのか参院選の公約」

「消費税の減税か、給付金か」・・各政党は
有権者が望む物価高への緊急の対応だと唱え
る。
確かに減税やバラマキは目先の恩恵になる
かもしれないが、根本的政策にはならない。
むしろ財政や社会保障に打撃を与え、国の
将来に禍根を残す危険な甘言ではないか・・

真摯に国民の将来を考える候補者なら、
財源や負担に言及し、国の財政や社会保障が
破綻しないような改革を訴えるだろう。

そこに踏み込まないのは、国民のためという
より、候補者自身が当選するための手段、
選挙対策のそしりを免れない。
与野党が互いに「バラマキだ」と批判しあう
実態を見れば、「減税か給付か」の本質がわ
かる。
消費税の減税を掲げるある野党の党首は、
最近の”超”長期金利の上昇を受け、
「減税を公約から外そうかと思った」と話す。
財政への警告を認識しながら減税を説くのは
国民に対する責任ある行動とは言えない。

参院は任期が6年と長く、解散もない。
今回の参院選で政党が柱に据えた政策の多く
は短期の”対策”だ。日本の将来を築く成長
戦略や社会保障、財政はどうなっているのか。

現金給付か減税か・・目先の分配理論だけが
目立つ今回の参院選。
長期の政策の信を問わず、目先の政策で選ば
れた議員ばかりで、6年間を任せていいのだ
ろうか。
相互関税の税率に戸惑い混迷する世界に、
日本はどう立ち向かうべきか?
国の将来・進路に本気で取り組む政治家は、
どこにいるのだろう。

                                             日本経済新聞

2318 中国はアメリカの自滅を待つ(2)

2318 「吉村外喜雄のなんだかんだ」

「中国はアメリカの自滅を待つ(2)」

2期目のトランプ政権は、中国に高関税を
かけた。習政権は米国への対抗措置として、
レアアースの輸出を規制した。

中国からレアアースが入ってこなくなった
米国。米フォードなど自動車メーカーが一時
生産停止に追い込まれている。
それだけではない。最新鋭のF35戦闘機や
原子力潜水艦が造れなくなるおそれが出て、
影響は、米国の安全保障の分野にまで及ん
だ。
慌てた米国は、追加関税の大幅引き下げを
はじめ、中国に対して譲歩を余儀なくされた。
次いで米政府は、5月に導入した「半導体
ソフト」の対中輸出規制を、6月に入り撤回
した。
中国はレアアースの精錬で、世界の90%
シェア握り、その強みを活かして米国との
関係を優位に進めようと画策している。

トランプ政権は、人口の減少と深刻な不動産
不況を背景とする経済の停滞などで、中国が
米国より先に衰退すると読んでいた。

しかし、米側の状況が劇的に変化した。
常軌を逸した高関税政策は、米国自身を傷つ
けた。インフレが再熱し、海外からの資金の
流入が細って、ドルの信認も揺らいだ。

中国の国力が落ちても、米国はもっと速い
ペースで衰退する・・習政権はそう読んでいた。
トランプ氏が率いる米国が”自滅”し、
相対的に中国が強くなるシナリオだ。

歴史を振り返ると、毛沢東は・・
『 弱い自分たちが強い敵に勝つには、
正面から戦わずに敵が消耗するのを待つ
持久戦論で、自分たちの力が敵を上回った
ら、一気に守りから攻めに転じよ』
と説いている。
トランプ政権が踏み込んだ、イラン・中東の
戦乱拡大は、習氏が掲げる「新たな長征」を
利するだけだ。

 

       日本経済新聞「中外時評」