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ゴルフは楽しい

昨年までの私のゴルフは、年に数回のお付き合いゴルフ。だから、いつまでも
上達しない。ゴルフはルールと罰則に縛られるスポーツ。
自由きままにマイペースで、好きなだけ楽しむというわけにはいかない。

雨が降ろうが、風が吹こうが、プレー出来る間は、否応なしに18ホールお付
き合いしなければならない。ミスショットが多いと、周りの人に迷惑をかけるし、
一緒に廻る人から「マナー知らず」と言われたことも…。気配りのいるスポー
ツである。
スキーやスキューバーにも、守らなければならないルールやマナーがある。
中でもスキューバーは、しっかりルールを守らないと、命に関わることになる。
どちらもストレス発散型…、だから無条件に楽しい。
ゴルフは、ミスの回数の少なさを競うスポーツ。我慢が付きまとう。下手な私に
はストレスである。でも、ゴルフは楽しい…。コンペの前夜はワクワクして眠れ
ない…。

【吉村外喜雄のなんだかんだ  - 101】 
「ゴルフは楽しい」

ゴルフの話題で、少し古い話を思い出した。
1973年、田中総理が訪英することになった。英国政府は、日本の首相に
ゴルフを楽しんでもらおうと、"日本流の気配り"をすることになった。
以下、その時在京の英国大使館が、本国に送った手紙に書かれていたことです。

日本では、ゴルフのエチケットがまだ未発達で、接待ゴルフで招待を受けたプレ
ーヤーがトラブルを起したとき、ボールを打ちやすい場所に動かしたりする。
さらに、日本人は同じ組で回る人をやたらと誉め、ボールをうまく打てれば
「ナイスショット」、バンカーでいくつ叩いていても、脱出できれば「ナイスアウト」
と声を掛ける…。
優勝すれば、「一緒に回ったパートナーのお陰」と、同伴者に気配りするのが
流儀であり、エチケットである…#$?

アメリカ女子プロゴルフ界にすい星のごとく現われた、16歳の天才ゴルファー、
ミシェル・ウィー。この十月、プロに転向しての初試合、三日目。
7番ホールでブッシュに打ち込んだ。ウィーはアンプレアブルを宣言、ボール
をドロップした。

間近でこれを見ていた新聞記者のマイケル。"ルール違反したのでは"との
疑念がよぎった。「ホールに近づいてドロップしてはならない」という規則だ。
彼女がプレーで離れた後、記者はその場所を確認した。「まる一歩分近くなっ
ている」。
ウイーは71の好スコアでホールアウト。スコアを提出する直前、記者は彼女
に話しかけた。彼女は「ドロップは適切だった」と言った。

その夜、記者は眠れぬ夜を過ごした。「ルール違反なら失格になる」。
報告すれば彼女は失格するだろう。だが、記者はさらに深く考えた。ルール順
守がゴルフの本質だ。違反を見て見ぬふりをするのは、それ自体が違反行為だ。

翌日ウィーは、2打罰の申告漏れで失格した。そして、610万円の賞金がフイ
になった。ウィーはまだ16歳、これから学ぶことだらけである。
その夜、ウィーの父親が記者室へやってきて言った。
「いいことをしてくれたよ、マイケル」、そして手をさしのべた。

                                    11/1読売新聞

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