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「落語・六尺棒」

■言葉あそび 「ことばの意味を問う」

今日は「猫も杓子も」 の語源をたどってみます。

日頃なにげなく使っている「猫も杓子も」、何ともおかしな言葉です。
外国人が日本語を学ぼうとするとき、何故そう言うのか知りたいと思うでしょう。

「だれもかれもみな」と言う意味の言葉ですが、この言葉のルーツは
「女子も若子も」である。"めこもじゃくしも"と呼ぶ。
「女も子供も…」という意味です。

江戸っ子のだじゃれ、遊び心が、「猫も杓子も」となったのです。


【吉村外喜雄のなんだかんだ  - 150】
~ことば遊び~
「落語・六尺棒」

日本の総理大臣などが、西洋諸国を訪れて悩むことの一つに、場を和ませるとっさのジョークが言えないことがある。真面目で、 喜怒哀楽を表に出さない日本人を見て、お金儲けのことしか頭にない、エコノミックアニマルと、西欧人はさげすむのです。
事実は、日本人ほど多彩な笑いの文化を持った国はない。
落語、漫才、狂言、川柳など、多彩な笑いが庶民の中に根付いているのです。

落語で、馬鹿息子を題材にしたものが多いが、中でも「六尺棒」は面白い。
「親のすねかじる息子の歯の白さ」という川柳があるが、こういう息子には父親の意見も「馬の耳に念仏」で、 しばらく頭を下げていれば"こごと"は上を通り過ぎていくと、しぁしぁと聞き流してしまう…。

♪廓(くるわ)の女に引っかかって、三日も四日も家を空け、帰ると戸が閉まっているので、叩いて、「番頭、番頭…左兵衛、金蔵、 寅吉ッ…」 
『ええ…、夜分遅く、表をドンドンお叩きになるのは、どなたですな?』

父親の白ばっくれた声にギクリとなり、
「あたくしですが…、ちょいと開けてください」
『商人(あきんど)の店は十時限り、お買物は明朝に願います。
はい、毎度ありがとう…』 
「買物じゃない、あたしですよォ…」

あたしじゃわからないので、名前をはっきり言ってもらいたいと言われ、
息子の孝太郎だと告げたが、父親はとぼけて、
『ははぁ、孝太郎のお友達ですか…、手前どもにも孝太郎というせがれが
  おりますが、商人の家に生まれながら、とんでもない遊び人でして、
親類協議のうえ勘当しましたから、そうお伝えを願います… 』

勘当という言葉にあわてて、明日からちゃんとすると謝ったが、
『明日からってのは、もう聞き飽きた、と、おことづけを願います』
どう言っても父親がとぼけ通すので、製造元はそっちじゃないか、
ものが良けりゃ自分のものにし、悪けりゃ捨てようってのは、
あまりにも勝手すぎると言ったために、父親が怒った。

『やかましい!黙ってりゃいい気になりやがって、ちったァ世間のせがれを
  見習え。朝早くから起きて一日働き、夜んなりゃ親の肩を叩いたり、
腰をさすったり…。そばで見ていて涙が出らァ 』

勘当は解かない、跡は養子を取って継がせると、断固と言い切るので、
息子も頭にきた。
「自分の生まれた家を他人に取られるのは悔しいから、この家ィ火ィつけます…」
あわてた父親が六尺棒を片手に飛び出したが、息子の足にはかなわない。
見失って戻ると戸が閉まっている。叩きながら番頭の名を呼ぶと、
「表をドンドンお叩きになるのは、どなたでございましょう」
と、先に入っていた息子がからかう。
俺だと言っても、
「俺ではわかりません。商人の店は十時限り、お買物は明朝に願います…」
すっかり裏返しである。

名前を聞かれて、おまえの父親の幸右衛門だと答えると、
「ああ、右衛門のお友達ですか、手前どもにも右衛門という父親がありますが、
  朝から晩まで働いて、金の勘定ばかりしています。親類相談のうえ、
  あの右衛門は勘当…」 
『親を勘当するやつがあるか!』

「やかましい!黙ってりゃいい気になりやがって、ちったァ世間の親を見習え。
  風邪でも引いたとなると、小遣いやって女の所へ遊びに行けと言う。
  そばで見ていて涙が出らァ」

『なにを云いやがる、父親の真似ばかりしやがって…。
そんなに真似がしたかったら、六尺棒持って、もう一編追いかけてこい!』

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