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失敗を生かし、勝利した米国

■原爆投下
私はS16年10月23日生まれ。原爆製造が決定されたのは12月6日。
真珠湾攻撃、太平洋戦争へと突入する前々日です。
歴史に"もし"はないが、仮に第二次大戦の勝敗が逆転していたら…、
原爆投下は、明らかに人類に対する最大級の戦争犯罪になるだろう。

その際、A級戦犯としてリストされる人物が、ヴァニーヴァー・ブッシュである。
ブッシュは、原爆計画の立ち上げから製造・投下、そして戦後の核管理まで、
政治の中枢にいて、政策決定に影響を与え続けた米国の科学官僚である。

ブッシュらは、日本をイエローモンキー、米国の対等の敵とはみなさず、ソ連や
米議会に対して、米国の科学水準の高さを誇示する、デモンストレーションの
対象として、原爆を投下したのです。日本人を殺すことに、何のためらいも
なかったのです。
「早く戦争を終わらせるために、やむを得なかった…」とは、投下後にアメリカの
マスコミが創りあげた、プロパガンダだったのです。
       平凡社・歌田明弘著「科学大国アメリカは 原爆によって生まれた」

【吉村外喜雄のなんだかんだ  - 122】
~歴史から学ぶ~
「失敗を生かし、勝利した米国」

NHKその時歴史が動いた「戦艦大和の悲劇」と、映画「俺達の大和」を見ての 感想です。
真珠湾の失敗を生かし成功の糧にした米国。一方、その成功を生かせなかった 日本。双方の違いが勝敗を分けた。歴史から学ぶ教訓です。

真珠湾攻撃から米国は、航空機が海戦を制する時代になったことに気づいた。
直ちに、年に50艦、週に一艦という猛烈なスピードで、航空母艦の建造に着手した。
一方、日本海軍は、初戦、劇的勝利を収めたにもかかわらず、その勝利を生か
すこともせず、世界最大の巨艦、戦艦大和と武蔵の建造に血道を挙げた。

第一次大戦の後、世界の列強は、30インチ砲から46インチ砲へと、巨艦建造
にしのきを削った。46インチ砲は、三万メートル先の敵艦を攻撃出来る。
30インチ砲だと、二万メートル先にしか届かない。過去の海戦では、巨艦で
もって先制攻撃を仕掛けた方が、俄然有利になる。

日露海戦で完璧なまでに勝利した日本。その勝利、その成功体験が、神話に
なった。航空機が主役の時代になったことへの判断を、甘く見てしまったのです。
もちろん日本海軍も戦力増強のため、航空母艦を建造した。ところが日本には
米国の十分の一の建造能力しかない。なのに、巨大戦艦の建造に、人・物・金
・時間、国力のおお方を注ぎ込んだ。これでは勝てるわけがない。

米国は、開戦わずか一年で、200隻もの航空母艦を有し、太平洋、大西洋に
強力な戦力を有する海軍に変貌した。そんな国力を持つ米国に、愚かにも
日本が戦いを挑んだのです。

アリが、密かに巨象の足の指の間に忍び込み、奥のほうの柔らかい肉に噛みつ
き、初戦に勝利したようなものです。
案の定、両巨艦、期待に応える戦果を何一つ挙げることなく、海の藻くずと消
えていった。沈み行く大和の艦内で、兵士がつぶやいた…。
「命をかけて戦った! だが、何も守れなかった。家族も…故郷も、無念…」

私たちもまた、時として同じ愚を繰り返す…。過去の成功体験が成功神話と
なり、固定観念となって、判断を誤らせてしまう。過去の大きな成功が、時代
の変化に対応する能力を奪ってしまう。会社を経営危機に陥れてしまうこと
になる。
「失敗によって目覚めた戦艦大和の愚」、歴史の教訓として受け入れ、継承し
ていかなければ、死んでいった3,721柱の御霊に、申し訳が立たない…。
「過去の成功に囚われず、過去の失敗から学ぶ…」 そんな謙虚な姿勢が
求められるのです。

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