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落語・長屋の花見

 

満開になった近所の公園の桜

■「落語・長屋の花見」

この噺は大坂の「貧乏花見」を、明治の末に、三代目"蝶花楼馬楽"が改作したもので、当時の題名は「隅田の花見」であった。

その後、四代目"柳家小"さんが更に手を加え、今日の「長屋の花見」になった。
如何なる噺も、幾多の名人上手、はた又、奇人変人を経て、名作落語へと練りあげられたのである。
名だたる落語のほとんどが作者不明なところが、落語の良さなのです。

楽書館「あらすじで読む古典落語」


【吉村外喜雄のなんだかんだ - 169】
~ことば遊び~  「落語・長屋の花見」

「桜咲く 桜の山の桜花 咲く桜あり 散る桜あり」
「一杯は人・酒を飲み 二杯は酒・酒を飲み 三杯は酒・人を飲む」
なんて申しまして、
♪「花見に行ったかい」
『行ってきた』
「どこだ」
『飛鳥山』
「どうだった」
『大変な人だぜ、おめえ…、娘っ子は唄いだす、お婆さんは踊りだすね、いやあ、面白かったなぁ~』
「おれも行ってみるか…、で、花はどうだったッ」
『花ッ…? さあ、咲いていたかなあ』

春爛漫、江戸っ子にとって、春の花見は心浮き立つ一大行事…。
お金に飽かして贅(ぜい)を尽くし、料亭おあつらえの花見弁当に、灘の生一本があれば言うことなし…なのだが、あいにくここは、 近所でも評判の貧乏長屋。
それでも花見に参加しようと、太っ腹の大家さんが、花見の酒と肴を用意した。

ところが出てきたのは、灘ならぬ宇治の生一本の"お茶け"。
重箱には、カマボコに見立てた大根の香々、卵焼きに見立てた沢庵がぎっしり。
酒、肴の運搬役は今月の長屋の月番さん。
大家さん、毛せんがわりのむしろを持たせ、長屋の衆を引き連れて、飛鳥山へ。

さて、花は満開、申し分なしなのだが、お茶に大根の香々、それに沢庵では、盛り上がろうにも盛り上がれない。
耐えかねた大家さんが、月番にお酒を注いでまわるよう命じる。が、中身はお茶け。

「おい、あんまり注ぐな。恨みでもあんのか」
なみなみ注がれて怒る者もあれば、「あたし下戸です」と言って拒否する者も。
「甘口、辛口ってのはあるけど、渋口だね、こりゃ」

続いて大家さんは『肴を食べなさい』と、これもまた月番に…。
しぶしぶ大根の香々をつまみ上げ、
「あたし歯が悪いんで、この頃はカマボコもよくきざまないと…」
「これはいいですね。胃の調子が悪いときには、カマボコおろしにして…」
「このカマボコは美味しいですが、やはり練馬の方のもんですか?」
「わたし、卵焼きは…尻尾(しっぽ)でないところを…」
と、長屋の衆は言いたい放題。

一同やけくそながらも、盛り上がってきたところで、再び大家さん、
『これだけいて一人も酔っていないね。月番さん、酔いなさい』
「では大家さん、つきましては…酔いました」
『やけに早いね』
などと言いながらも、大家さんは上機嫌。
「いやぁ、こりゃいい酒だ。いくら飲んでも頭に来ない」

花見も宴たけなわ。すると、長屋の一人が「大家さん!」と叫んだ。
「近々長屋にいいことがありますよ。"酒柱"が立ってますゥ…」

学習研究社「落語ギャラリー60」

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