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邯鄲(かんたん)の夢

■40年の積み重ねが…

あと一週で2008年…今年も様々な自分史を残して、暮れていく。
私の友人で、過去四十年間欠かさす、自分と身の回りの身近に起きたことを、十大ニュースに書き残している人がいる。

高校のクラスメイト四人が、この秋、金沢の同級生のサロンで、趣味の作品を持ち寄り、第一回「おじさま四人展」を開催。 親しい友人に案内状を送付した。
四人の一人、埼玉在住の同窓生は、毎年年賀状を刷るたびに作成した、手作りの版画(芸術家はだし)を出展した。過去40年、 年に一絵の賀状の個展です。
年代順に並べられた40枚の版画の下に、その年の出来事が書き添えてあった。
一枚一枚、版画が刷られた年代を思い起こしながら、じっくり鑑賞した。
誰も真似の出来ない人生の宝物でしょう。

 

「一つことをやり続けると、十年…偉大なり。二十年…恐るべし。
三十年…語り継がれ、歴史になる。五十年…神のごとし」

~鍵山秀三郎語録より~

 


【心と体の健康情報 - 325】
~故事から学ぶ~
邯鄲(かんたん) の夢

NHK・BSで、放映終了したばかりの「関口知宏の中国鉄道大紀行」。
中国の隅々を旅行しているような気分にさせてくれる。
NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」に似た、私の好きな番組です。

数日前、録画を見ていたら、河北省邯鄲(かんたん)駅に降り立ち、「邯鄲の夢」の故事ゆかりの、道教寺院へ立ち寄る所があって、 この故事の由来を知った。
お寺の名前は、黄梁夢(こうりょうむ)呂仙寺。
今から800年前の北宋の時代に、「邯鄲の夢」の故事にちなんで建てられた、立派なお寺である。

「邯鄲の夢」の故事とは…
唐の時代。廬生(ろせい)という貧しい若者が、邯鄲の宿舎で、旅人の呂翁という道志に会い、しきりに「あくせくと働きながら、 苦しまなければならない」と、身の不平をかこった話をした。

やがて廬生は眠くなり、呂翁から不思議な枕を借りて寝た。
すると、夢の中に自分の生涯が写し出された。
進士の試験に合格し、美人を嫁に迎え、子を授かり、トントン拍子に出世して、ついに都の長官になった。 戦いに出ては匈奴を破って勲功をたて、栄進して太夫になった。

ところが、時の宰相に妬まれて、辺境の地の長官に左遷。そこに居ること三年。
再度召されて、いくばくもなく宰相にまで上った。それから十年間、よく天子を補佐して善政を行い、賢相のほまれを高くした。

位人臣を極めて、得意の絶頂にあったとき、突然、無実の罪を着せられ、捕らえられた。彼は縄につきながら、嘆息して妻子に言った。
「わしは、山東の家で百姓をしていれば、それで、寒さと飢えをしのぐことができた。
何を苦しんで禄を求めるようなことをしたのだろう…。そのために、こんなザマになった。
昔、ぼろを着て、邯鄲の道を歩いていた頃が懐かしい」

刀を取って自殺しようとしたが、妻に押し止められてかなわず、遠島に付された。
数年して天子は、それが冤罪であることを知り、廬生を呼び戻して燕国の公に封じ、恩顧はことのほか深かった。
五人の子は、それぞれ高官になり、天下の名家と縁組をし、十余人の孫を得て、幸福な晩年を送った。 50年に及ぶ波乱万丈の生涯を夢に見たのです。

廬生が夢から覚めてみると、もとの邯鄲の宿舎に横たわり、傍に呂翁が座っている。
うたた寝を始める前に蒸しはじめた黄梁(ご飯)が、まだ煮えていなかった…「ああ、夢だったのか!」
呂翁は、廬生に笑って言った。『人生はしょせん、みんな、そんなものだよ…』

廬生はしばらく憮然としていたが、やがて、呂翁に感謝して言った。
「栄辱も、貴富も、死生も、何もかもすっかり経験しました。これは、先生が私の欲をふさいで下さったものと思います」
廬生は、呂翁にねんごろにお辞儀をして、邯鄲の宿から旅立っていった。

「ほんのひと時の、つかの間の夢であった…」という故事になって、現代に伝えられ、そこから「人の一生というのは、 このように短くはかないものだ」の、例えに使われる。
「邯鄲の夢」から、「一炊の夢」「黄梁の夢」「邯鄲の枕」などの言葉が生まれている。

※黄梁…粟のこと

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