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かなざわなまり(2)

■ヨーロッパ時間

定刻になっても人が集まらない、「金沢時間」というのがどの地方にもあります。
日本人は一般的に"せっかち"で、定刻に遅れることにはうるさいようです。

「時間を守る」ことについて、ヨーロッパ各国を見ると、
ドイツ人は…定刻きっかりに集まってくる。
英国人とアメリカ人は…10分くらいの遅れは許容範囲。
フランス人は…30分、イタリア人は1時間くらいまでなら待てる。
スペイン人は、定刻に電話したら、まだ寝ていた…。

ドイツなどの北欧の寒い国は…全員揃うまで待っていられない。
時間を守り、定刻に遅れないようにすることが、気配りになる。
一方、温かい南の国…温暖な気候が、のんびりとした風土を育む。
少しくらい待たされても、苦にならないのです。


【吉村外喜雄のなんだかんだ - 580】
~ことば遊び~ 「かなざわなまり(2)」

「かっこいいジー」「うェ」「おいね」「ほうや」
「そうけ」 「な~ん」「…がやわいね」

交通網が整備され、一時間もあれば、富山や福井へ行けるというのに、
金沢の北部、競馬場の近くには、早口ことばの八田弁?があり、
金沢の中心部だけに通じる方言(例…キンカンなまなま)があったりと、
わずか数キロ離れただけで、意味が相手に伝わらない方言がある…不思議ですよね…。
※「キンカンなまなま」…真冬、道路が凍ってツルン・ツルンになった状態のこと

「昨日、春スキーに行ってきたうェ。これ、そん時の写真ながヤ!」
『そんながけ、そりゃよかったわいね…あら~!かっこいいジー』
「な~ん、たいしたことないわいね…でも、昨日は天気やったさかいに、良かったわいね」
『おいね…ほやとこと、いい天気で…よかったわいね』
「ほやけど、天気良すぎて…雪質悪て、ダメやったわいね…」
日常、こんなやり取りが交わされている。

転勤してきた男性、女子社員から「かっこいいジー」と言われて苦笑する。
「かっこいいね」と素直に言われると喜べる…が、語尾に付く「ジー」が分らない?
この「ジー」、金沢弁独特の文末詞である。
東京でうっかり「そのスーツ、いいジー」なんて言おうものなら、「イージーオーダー」のスーツのことと、勘違いされてしまう。

北陸三県には、それぞれ味わいのある文末詞がある。
富山県は、「新聞きとったゼ」と、「ゼ」を多用する。
福井県では、「ほんなことしたら、あかんザ」と、「ザ」を多用する。

「おいね」 は、相手の話に同感し、相づちを打つ「ハイ」「そうだ」の意味になる。
同じ相づちでも「ほうや」 は、「その通り」「まったく同感」と、相手の話題を励ます。
そうだそうだと相づちを打つ時、「ほや、ほや」と重ねる。
更に強調すると、「ほうながや~」「ほうながかいね~」と語尾を伸ばす。
そこには、相手に対して、いささかの不信感も存在しない…。
「でもねー」という意味の、「ほぅやけど…」もよく出てくる言葉です。

「そうけ」 もよく使われる。「そうですか」といった意味で、「ほうや」よりも消極的肯定となる。
お婆ちゃんことば、「そうけ、そうけ…そうかいね」となると、今度は相手の話に深い関心を示す言い方になり、その使い分けは、 よそから来た人には難しい。
妻「映画面白かった?」 夫『なーん』…金沢で、こんな会話がひん繁に交わされる。
県外の人が聞くと、「日本語じゃないみたい」と言う。
「なーん」 は否定する「いいえ」の言葉だが、そんなに強いニュアンスはない。
さりげなく、気を抜いたように、あいまいに発音する。
又、「別に…」という意味に、「なーん」を使うことも多い。

夫「近頃、元気ないジー」 妻『なーん…』
相手を思いやってか、その後の言葉がない…その先は察するしかない。
それ以上聞かないで欲しい…という意味が「な~ん」に含まれる。

十年ほど前の裏話だが、米露首脳会談で、当時のクリントン大統領が、エリツィン大統領に注意を促した。「日本人のYESは、 NOである」と…。
金沢ことばの「なーん」は、必ずしも「NO」を意味しないのです。

「頑張りまっし、金沢ことば」より

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