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「将棋的発想、囲碁的発想」

米百俵の精神
 
中越地震の震源地長岡で、忘れてならない人物に”小林寅三郎”がいます。
平成13年5月、小泉首相の就任所信表明演説で「米百俵の精神」 を引き合いに出し、話題になったのは、ついこの間のことのようです。                                                                                  

頃は明治3年明治維新に際し、新政府側につかず、独自の立場を貫いた長岡藩は、 戊辰戦争で官軍に町を焼かれ、 石高も七万四千石から、二万四千石に削減され、窮状にあえいでいた。                                                                                                         

それを見かねた支藩の三根山藩が、見舞いに届けたのが” 米百俵”
長岡藩の大参事(旧家老)の小林寅三郎は、米を藩士に分けず、百俵を元手に学校を作ることを主張した。 窮状にあえぐ藩士らは猛反発し、 米を寄こせと詰め寄った。                                                   
大激論の末、小林はこう説き伏せた。
「百表の米を分けたところとて、何日ひもじい思いをしのげるだろうか?                                                                      食べてしまえばそれまでで、 いつまでたっても本当に食えるようにはならない。                                                                    この米で学校を建て、 人材を養成するのが迂遠だが、一番の近道だろう。                                                                         今、 百俵の米が、その時には千俵にも万俵にもなるだろう…」と。

後に長岡中学から、山元五十六や小野塚喜平次・東大総長らの逸材を多数輩出した。                                                                                                                                   目先に囚われているようでは、 いつまでたっても世の中は変わらないだろう。                                                                   5年後、 10年後を見据えた政治を行うことが大事なのです。

 
712 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「将棋的発想、囲碁的発想」
 
今年の男子プロゴルフ界…18歳の石川遼と、23歳の新人・ 池田勇太が賞金王を競っている。囲碁の世界では、井山裕太プロがこの10月、 20歳4か月で名人を獲得… 7大タイトルの最年少記録を33年ぶりに塗り替えた。
 
ここ数年、プロスポーツの世界では、男女を問わず20歳前後の若者が、きら星の如くトップの座に躍り出て、脚光を浴びるケースが目立っている。
 
日本の囲碁界は、ここ7~8年ベテラン・中堅の活躍に依存する状態が続き、 最近の国際大会…韓国や中国との対抗試合では、初戦で敗退することが多く、 囲碁愛好者の1人として、はがい思いをしてきた。
 
将棋界では、羽生善治・永世名人や、渡辺明・永世竜王ら、 20歳以下のタイトル獲得者を、相次いで輩出しているだけに、 若手新人の台頭が待たれていたのです。
 
囲碁界に、若者が輩出しなかった理由の一つに、以下のような説がある。
将棋は、相手の王を詰めるという、目標への「一点集中、一点突破力」が求められるが、それが若者に向いている。
 
一方囲碁は、最終的に陣地の多い方が勝つので、 常に盤面全体に目配りをするバラン」が求められ、年配者に向いている…という説です。
もちろん、将棋も囲碁も強くなるためには、 両方の能力が必要なのは言うまでもありません。
さて、この考え方を鳩山政権に当てはめると、マニフェストが 「将棋的発想」 に偏り過ぎているような印象は拭えません。
 
「子ども手当ての創設」「高速道路完全無料化」「ダム建設凍結」など、 国民の受け狙った、 目先の政策実現に対しては、強い意志は感じられるが、日本の将来に目を向けた経済政策や、 国際競争力を高める、研究開発などへの予算配分が見えないのです。
             
過去最大の95兆円に達した2010年度予算… マニフェストを意識した目先の政策に重点配分すだけでは、財政再建も経済成長も望めないでしょう。
国民は、平成維新?をなしとげた新政権が、日本の将来のためにどんなビジョンを掲げ、 国を導こうとしているのか?  期待に胸ふくらませているのです。
 
鳩山政権は”盤面”つまり、経済全体を見渡して、最適な政策の組み合わせを探る、 囲碁的発想”を活用してもらいたいものです。
                      11/2読売新聞「キャッチボール」より

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