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禅僧・関 大徹 「おいしくいただく」

■日本人の食生活
 
「ユッケ」0111中毒事件…販売店・卸元だけでなく、厚生省も責任を問われ
る事件に発展している。日本人が馬刺しやユッケを好んで食すようになった
のは二十数年前から…ここに来てようやく、生肉の怖さを知ったのです。
 
日本人の食文化で「肉」は、 七世紀に天武天皇が肉食禁止令を出して以来、
つい最近の四十数年前まで、一千三百余年の長き渡って、 庶民の食卓に
乗る一般的食べものではなかった。
 
その間の穀物主体の食生活が、日本人の腸の長さを、北欧人の倍の長さ
(14メートル)…ずん胴・短足の体形にしていったのです。
江戸時代は、 薬として鹿や猪を食べることもあったが、 明治になって文明
開化が進み、 牛鍋が庶民の間で流行るようになった。
昔から肉を常食しているお隣の韓国…肉料理の種類は豊富で美味しい。
 
農水省によれば、1960年代の一人当たりの肉の消費量は、年間5キログ
ラムだったが、その後の食生活の洋風化により、40年後の2002年には、
28キログラムと”5倍以上”になった。
 
 
861 【心と体の健康情報】
 
~禅僧・関 大徹~「おいしくいただく」
 
人生の書、禅僧・関 大徹の「食えなんだら食うな」から…
 
禅僧の日課、お勤めの後は作務と、まったく休む間もない。
そのわずかな休憩時間も、地べたに寝そべったり、無駄口を叩いたりする者はいない。樹の根っこや石の上に腰をおろし、 端然と坐っている。
 
体の動かぬときは心の動くときである…貴重な時間を一時も無駄にしない。
作務は「動中静の工夫」であり、休憩は「静中動の工夫」 である。
そして毎夜、開枕(就寝)の時間になると「夜坐(夜中の座禅)」に出る。
 
そうした中でいただく三度の食事は、この上なくありがたかった。
麦八分の粥もご飯も、塩辛い味噌汁も、三百六十五日同じ献立でありながら、その都度新鮮でおいしかった…飯がうまいとは、 このことなのである。
おいしい料理とは、材料や調味料や料理人の小手先にあるのではなく、いただく側の受け止め方しだいなのです。
 
禅には「一日為さざれば、一日食わず」という言葉がある。
それをどうであろうか、「一日為してこそ、食うものが食える」と読み変えてはどうか。
大根も人参も、折角いただくからには、せいいっぱいおいしくいただいてやるのが、人間としての勤めであろう。
 
ところで今の日本の食生活は、贅沢極まりない。しかしながら、米や小麦・大豆など、 日本の食卓に乗る食品の自給率は40%にも満たない。
将来世界の人口が増えたとき、穀物や肉・野菜など、今と変わらぬ輸入が可能だろうか?  
諸外国が自国の消費で手いっぱいになり、日本に輸出する余力がなくなったら、 日本はどうするのだろう…今、こんなことを心配している。
 
以下、月刊致知「三農七陶」から…都会を捨て、田舎に移り住んで、 農業を覚えながら暮らしている夫婦の言葉です。
 
都会に住んでいた頃は、お腹が空いたから食べるという感覚しかなく、感謝も何もなかった。
今は自分で畑を耕し、野菜を育て、芋や豆を食べていると、食べるたびに”生命”を感ずる…
地球や大自然に感謝しながら食べる…とても美味しいのです…毎日の食事は粗末ですが、 食材の新鮮さがたまらなく美味しい。
 
町に住む人たちは、お百姓さんのご苦労など知る由もなく、「旨いの、まずいの」 と食べ物を粗末にする。
たらたら文句を言いながらの食事では、どうしても脂っ濃い味の濃い食事になってしまう。
悪感情が消化を妨げ、内臓を疲れさせる。そんなふうだから、折角口に入れても、 味も解らないまま、食事をすることになる。
 
「食べる」ということは、「生きる」ということにつながる、何にも増して神聖な行為なのです。 どんな味付けをして、どんなものを口に入れ、どんな心で、どんな食べ方をするか…その一つひとつがとても大切なのです。
 
テレビを見ていると、ひたすら美味なもの珍味なものを求め、 食べ歩いて視聴者を引きつけようとする番組が多い。
そこに出てくる食べ物は、私達が言う神聖な食べ物ではないのです。

 

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