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土用の丑の日

■小噺「うなぎ その1」

土用の丑の日、うなぎ屋は大忙しでうなぎを焼いています。
そこへ外国人がやってきて、
「おお~いい匂い。このウナギの蒲焼…セイヨウ料理デスカ?
ソレトモ日本リョウリデスカ?」
うなぎ屋、「えッエ~と、これは…洋食(養殖)です!」

■小噺「うなぎ その2」

熊公 「ご隠居に尋ねるが、ウナギは、なんでウナギと言うんだい…」
ご隠居 「鵜がウナギを飲み込もうしたが、長くて難儀した。
鵜が難儀したので、鵜が難儀した…鵜難儀…ウナギになったんじゃよ」
熊公 「ふ~ん、じゃ何だって蒲焼って言うんだい?」
ご隠居 「鵜に飲み込まれるようなバカな魚だからよ。
バカ焼き、バカ焼きって言っているうちに、カバ焼きになったのよ…」
熊公 「じゃあ、バカ焼きって言えばいいのに、なんだってカバ焼きってひっくり
返ったんだい?」
ご隠居 「よ~う考えてみな! ひっくり返さないと、うまく焼けないねェ!」



【吉村外喜雄のなんだかんだ - 586】
~ことば遊び~ 「土用の丑の日」

7月24日は「土用の丑の日」。土用・鰻の日にちなんで、ウナギにからむ話を、あれこれ集めてみました。読んだ後、 よろずウナギ物知り博士になっています…。
丑の日に「う」の付く物、「うどん・うり・梅干」などを食べると体に良い、という言い伝えが以前からあった。江戸時代の中期、 売上不振に悩んだウナギ屋が、"平賀源内"に相談を持ちかけた。ならばと、「鰻は土用の丑の日に」と書いた張り紙を出して、宣伝した。 それがきっかけで、ウナギを食べるようになった。

ウナギ料理は、好きな人が多い反面、形がニョロニョロしているからと、食わず嫌いの人も多い。そのウナギ料理、「くし打ち3年、 焼き一生」と言われ 、日本人が大切に守ってきた伝統の味、伝統の料理なのです。

「"くし"を"刺す"」のが、正しい言い方ですが、縁起が悪いからと、「打つ」と言う。
同じように"するめ"を「あたりめ」、すり鉢を「あたり鉢」、"箸"は「おてもと」と言ったりする。いずれも、古くからある、 縁起をかつぐ言葉づかいです。

ウナギのさばき方では、商人の町・関西では、「腹を割って…」というので"腹開き"。
一方、関東は武家の町。「腹を割く」は「切腹」をイメージして、縁起でもないと、
"背開き"になった。
ところで何故"蒲焼"というのか?昔、丸のまま竹に刺して、蒲(がま)の穂の形で焼いていたからなのか?
関東は、竹串に刺して素焼きにした後、一度蒸してからタレ焼きにします。
あっさりと淡白で柔らかな仕上がりになります。
関西の焼き方は、直に焼いた後、タレを付け焼きし、蒲焼に仕上げます。
芳ばしさと、パリパリ感があって、美味しい。

「うな丼」と「うな重」の違いは、江戸末期には、素焼きの丼に「うな丼」として出されていたが、大正時代になって、高価な 「漆塗り丼」が出て、昭和になって、東京の店が重箱に入れて出すようになった。
中身は同じなのに、重箱に入れて値段を高くする店が出始めたのです。

ウナギの名前の由来は、天然ウナギの胸が黄色いところから、奈良時代までは「胸黄(ムナギ)」と呼んでいた。 それがウナギと呼ばれるようになった。
ウナギを使った言葉に「ウナギの寝床」があり、「ウナギ登り」がある。ウナギが水中を真っ直ぐに登っていくことから、「物価が…」 などに使われます。

ウナギの赤ちゃんは、日本から南に二千キロ離れた、赤道直下のマリアナ諸島付近で誕生するそうです。
半年近く海流に乗り、アジア諸国沿岸に来ますが、大半は養殖用に捕獲されます。
「シラス」といって、「海のダイヤ」とも言われ、年々漁獲量が減少しています。

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