昨夜のNHK・
    BS2の韓国王朝ドラマ「イ・サン」…王宮に仕える奴婢が身分をわきまえず、
    密かに絵を描いていることが表沙汰になり、宮中は大騒動。
  
  
    いくら才能があっても、王母が配下に製作を命じた掛け軸の絵を、奴婢の分際が描くなど…言語道断。
    厳しい身分制度に縛られた、中世朝鮮を垣間見た…
  
  
    ■人口比率に見る、中世・朝鮮の身分階級
  
  
                               
    1690年                  
    1858年 
  
  
      ○両班        7.6%        48.6%
    
    
      ○常民       51.0%        20.2%
    
    
      ○奴婢(奴隷)   41.2%        31.3%  
    
  
    朝鮮・李朝(1392~1910)の500年は、日本の士農工商よりはるかに厳しい、身分制度に縛られた国だった。
  
  
    人口の8%弱の支配層の”両班”が、170年後には6倍に増え、人口の半数を占めるまでになったのは、
    金銭を払ってでも官職を手に入れたいという、切ない庶民の姿があった。
  
  724 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
  ~歴史から学ぶ~
  「李氏朝鮮時代の身分制度」
  「チャングムの誓い」や「大王世宋」、そして、BS2で放映中の「イ・サン」「龍の涙」
  を見るとき、是非知っておきたいのが、
  李氏朝鮮時代の身分制度。当時の朝鮮は、世界で最も身分差別の厳しい社会だったのです。
  中国の政治システムを丸ごと踏襲した李朝…”小中華”の中心はソウルにあり、
  都から遠く離れた民は軽んじられた。
  
  官吏は朝鮮中央部からしか選ばれず、半島の北端や南端は、
  流刑の地だったこともあって、公然と地方差別を受けた。
  6世紀初頭、新羅に滅ぼされた半島南端”百済”
   の民は、1998金大中大統領が出るまで、
  ずっと差別されてきた。その沖合いにある済州島は、
  流人の島だった。
  李朝3代の時、身分・階級に従って、着ている服の色が定められ、守らないと投獄された。韓国の歴史ドラマを見ると、
  着衣で階級の上下が判別できるのです。
  身分は、大きく「良民」と「賤民」に分けられる。
  ■「良民」は自由な民で、納税、国役の義務を負い、
     三階級に分類される。
  ○両班(ヤンバン)   …貴族的高級官僚で、文班(文官)と
     武班(武官)がある
  ○中人(チュンイン)  …
  科挙の試験に合格した下級役人、
     技術官、医者など
  ○常民(=良人・ヤンイン)…農民が大多数を占め、商人、
   職人
  ■「賤民」は奴隷。大多数は”奴婢(ヌヒ)” 
     最も差別されたのは”白丁”…職業、居住地、衣服にいたるまで、厳しい制限と強い差別を受けた。
  高級官僚、大百姓、金持ち商人は、奴婢を財産にし、権威の象徴として多数の奴婢を養い、下働きに使った。
   奴隷ゆえに、売買・贈与・相続の対象にされた。
  支配階級の両班は、生まれつき血縁というだけで、能力・才能とは無縁に、地位と名誉を手に入れ、
  役人に登用され、国政に携わった。
        ”常民”の百姓は両班から差別され、”奴婢”は常民の百姓・町民から差別された。
        
      
      
        婢(女の奴隷)は、日韓併合当時まだ一人30円で、売買されていた。
      
      
        婢は主人の所有物で、夫は持てず、生まれた子も主人の所有物になり、転売された。
        奴婢の子孫は代々、奴隷の身分のままに置かれたのです。
      
      
        今日の韓国の繁栄は、在日韓国人が大きくかかわっている…が、本国に帰ると 
        「ハンチョッパリ」(豚の足の半分日本人奴)と蔑まれる。
      
      
      TVドラマでは、犯罪を侵した常民が奴婢の身分に落とされ、放牧の牛のように、
      胸に焼印を押されるシーンがあった。また、戦いに敗れた敵の捕虜を奴婢にして、財産にすることも行われた。
    
  
    明治初期、日本政府は韓国に開国を迫ったが、無視された背景に、こうした朝鮮社会の門閥や、
    封建身分制度があった。
  
  
    身分制度は国政を腐敗させ、不平等社会を生み、国力衰退の主因になった。
  
  
      朝鮮の社会改革が、日本の明治維新のごとくいかなかったのは、
      伝統的身分制度が邪魔をしたのです。
    
 
  
        奴婢制度は、1894年日韓併合当時、日本の強力な後押しを受け、「甲午改革」で 
        「四民平等」を宣言して、廃止されるまで続いた。
      
      
        しかし、韓国社会は直ぐには受け入れず、現在も尚、階級差別・地域差別の意識が根強く残り、
         偏見は収まっていない。「賤民」の家系というだけで、結婚・就職の障害になっているのです。
      
    
      日本人にも、潜在意識の中に、朝鮮人を見下し差別する意識があり、
      朝鮮人への優越意識が存在するのは否めない…中学の時、クラスに韓国系の女子生徒がいたが、「朝鮮、朝鮮とパカにするな」
      と囃し立てられ、いじめられ、可哀想に思ったものです。
    
    
      その頃まで、犀川の上流・大桑と、下流の現・高岡中学近辺の二ヶ所の川原に、
      乞食同然の朝鮮人が掘っ立て小屋を建て、身を縮めるようにして暮らしていた…
    
    
      私たちは「朝鮮部落」と蔑んでいた。   
    
    
                         
      「徒然なるままにエッSAY!」より
    
  