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歴史から学ぶ 「文明の衝突・宗教戦争(2)」

パレスチナ「オブザーバー国家」へ


昨年12月29日、国連総会でパレスチナを「オブザーバー国家」 に
格上げする決議案が採択された。
パレスチナは過去に、独立国家への承認を国連に求めたが、
イスラエルや米・英の強い反対に合い、実現しなかった。

そこで今回戦略を切り替え、現在の地位「オブザーバー機構」から、
一段格上げの「オブザーバー国家」への承認を目指したのです。
採択されたことで、国連でのパレスチナの地位は、バチカンと同等 に
なった。
ヨーロッパ諸国で決議案に賛成したのは、ノルーウェー、スペイン、
デンマーク、アイスランド、フランス、スイス。
反対は英国、米国、棄権はドイツでした。
日本は、反対でも棄権でもなく賛成に回った。
米国に追従する日本・・「エッ!」と思ったのは私だけでしょうか・・

承認された直後、パレスチナの住民は歓声を上げた。
アッパス議長は「パレスチナが国家を目指す、第一歩になった」と談話。
イスラエル政府報道官は「政治的脅し」と非難した。

1041 「吉村外喜雄のなんだかんだ」
歴史から学ぶ 「文明の衝突・宗教戦争(2)」

1917年に、英国軍がオスマントルコ軍を破って入場するまでの約700年間、イスラムが聖地エルサレムを支配していた。
オスマン帝国崩壊後、欧州の列強が競ってアラブ、イスラム諸国を分轄・統治した。
異教徒に従属させられ、誇りを失った陰りが、イスラム同胞団などを創設させ、民衆に深く浸透していった。

第二次大戦後、イスラムに民主化が芽生え始めたとき、米ソ冷戦の中、アルジェリア、リビアなどに、軍事政権が続々誕生した。
彼らは、イスラムを掲げつつ、実体はイスラムを抑圧、弾圧する政治を行った・・住民の貧困はいつまでも改善されないまま。
今、戦火の中にあるシリア・・アラブの春で倒されたエジプトやリビアも、そうした国である。
それら独裁政権を陰で支えてきたのが、米・欧・ロの国々である。

今回事件のあったアルジェリアでは、1990年代総選挙で勝利したイスラム勢力を、軍部が武力でつぶしていくのを、旧宗主国フランスは黙認し、他の欧州諸国や米国も沈黙した。

西欧の政権は、国民の選挙で決める民主主義。
暴力を排し、公正な裁きを秩序とする、法治国家を掲げながら、中東では自国の利益を優先すべく、暴力的政権を擁護してきた・・そうした姑息な二枚舌を民衆は見抜いていて、不信・不満をつのらせていった。

ウサマ・ビンラディンの殺害で、オバマ大統領はかっさいしたが、現実、テロは減るどころか、より頻発するようになった。

1997年、エジプトの南部遺跡クルソールで、日本人10人を含む観光客60人が、イスラム原理主義テロリストに射殺されたことがあった。
当時のムバラク政権は、過激派を多数捕えたが、テロは南部に逃れた。
鉄道が襲われると、隠れ場所のないよう、線路近くのサトウキビ畑を刈り取ったりしたが、テロはなくならなかった・・武力でテロは根絶できないのです。
イスラム社会の血縁、部族のつながりは強く、一人殺されると、その子、兄弟がテロリストになった。
貧困・失業・政治腐敗などが、テロの温床になっていく。テロの根は深く、目先の問題を解決するだけでは、テロはなくならないのです。

                                                                                 1/23 中日新聞社説

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